周回遅れの世代格差、「企業はもっとネット世代に学ぶべきだ」とタプスコット氏【前編】:Teradata PARTNERS 2009 Report(2/2 ページ)
「ウィキノミクス」などの言葉を生み出したことで知られるドン・タプスコット氏が「Teradata PARTNERS 2009」でゲスト講演を行った。ネット世代への批判は、無理解から生まれるものであると同氏は指摘し、企業は彼らを冷静に理解し、そして学ぶべきだと提言する。
ネット世代とは、物心ついた時からデジタルテクノロジーが身の回りに存在し、それを空気のように呼吸して成長してきた世代のことだ。具体的な年齢としてはおよそ30歳以下に相当する。今では「デジタルネイティブ」という言葉の方がなじみがあるかもしれない。
米国におけるネット世代は、ベビーブーム世代の子どもに相当する世代であり、人口構成的に大きな割合を占めている。故に、ネット世代の考え方や行動が社会やビジネスに与える影響は大きく、今後ますます加速していく。
一方、日本においては周知の通り、少子高齢化によりネット世代の全人口に占める割合は諸外国と比較してはるかに小さいため、その影響力は小さくなる可能性がある。これは日本経済の将来にとって重大な問題になるかもしれない。「(日本の)移民を受け入れない政策などが原因」と講演でも指摘したタプスコット氏の言葉には苦笑するしかない。
理解不足からしばしば批判的になる年長世代
それはさておき、この世代に対して「ものを知らない」「社交スキルがない」「怠惰で努力をしようとしない」「暴力的」などの批判をよく耳にするが、タプスコット氏はこうした批判に真っ向から反論する。
実際、データに基づいて分析すると、ネット世代に対する批判は的外れであることが分かる。知能指数は増大しているし、ボランティア活動に参加する若者の数も増えている、と具体的な数字を挙げながらタプスコット氏は話した。
また、先ごろの米大統領選において、ネット世代の若者たちがFacebookやTwitterをはじめとするソーシャルメディアを活用した選挙活動を積極的に行ったことがよく知られている。タプスコット氏は、年長の世代によるネット世代への批判(あるいは恐怖感)はネット世代をよく理解していないことから生まれるものだと指摘する。ネット世代を冷静に理解し、彼らから学ぶべきというのが同氏の根本的主張だ。
これはある意味当然のことだ。ネット世代は世界に極めて大きな影響を与えている情報技術について、親の世代よりも深く理解しているからだ。このような現象をタプスコット氏は、ジェネレーションギャップならぬジェネレーション“ラップ”と呼んでいる。周回遅れの親の世代をネット世代が追い抜いているような状況だからだ。
後編では、年長世代がネット世代に学び、企業が将来、人事やマーケティングの分野でどのように取り組んでいくべきかについて、タプスコット氏の提言を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- DWHで業務改革に取り組む京王百貨店、ターゲットごとの施策と評価の文化が芽生える
先週、ワシントンD.C.で開催された「Teradata PARTNERS 2009」で京王百貨店が新しい情報系システム「Sales-up Support System」と、それを軸とした業務改革の取り組みを紹介した。 - 楽天、日本最大級のマーケティングDBで顧客を一元把握
ワシントンD.C.の「Teradata PARTNERS 2009」で10月19日夕方、楽天が事例セッションを行い、「楽天経済圏」とそれを支える「楽天スーパーDB」を紹介した。 - データマートの統合で難局に立ち向かう米先進企業、Teradataはクラウド戦略も明らかに
「Teradata PARTNERS 2009」がワシントンD.C.で幕を開けた。ユーザーグループ主催にふさわしく、早朝から企業向けアワードの授与式が行われたほか、オープニングセッションの主役もレンタカー最大手のEnterpriseでデータウェアハウスのリードアーキテクトを務めているボルマー運営委員長だった。 - 総合決済ソリューション企業を目指すJCBがデータウェアハウスを刷新
- コスト削減とアジリティの両立──企業にデータマート統合やクラウドを売り込むTeradata
- 日本テラデータ、短期間でDWHを構築できるパッケージ製品を発売
- 連載:顧客データ活用のABC
- 十六銀行、顧客管理とCTIのDBを統合――バッチによる利用制限を撤廃
- Teradata Universe Tokyo 2009:今こそエンタープライズDWHで競争優位を勝ち取れ
- SASと日本テラデータが協業、金融・小売業者に共同提案
- セブン銀行、新会計システムでATMの損益把握 5億件のデータを分析
- 三井住友銀行の新CRMシステム、住宅地図活用で訪問回数が倍増
- コカ・コーラウエストの成長を支える自販機支援システム
- eBayが5ペタバイトのDWH構築、Teradataユーザー会で各社が「知識」を共有
- 連載:CRMチャネルの威力を活性化せよ
- 西日本鉄道のICカード、「利用者と店舗の満足度を追求する」――nimocaの戦略とは?