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「有効性」を重視する企業が経営で沈まない理由Gartner Column(4/4 ページ)

景気後退期で困難な局面が訪れる中、企業は「効率性」ではなく「有効性」を高めないとこの難局を乗り切れません。では有効性と経営はどう関連するのでしょうか。CIOへのインタビュー調査から読み解きましょう。

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経営者が心掛けておくべきこと

 エンタープライズ・エフェクティブネスは、目標達成能力の高さを示すものです。経営者の方は、その目標を適切に設定しているでしょうか。売り上げや利益率を上げることを目標にしていませんか。そして利益率を上げるためにコスト削減を掲げ、IT関連の費用のみを減らすことに躍起になっていませんか。

 IT費用は、企業の運営に必要な総費用の何%にあたるのでしょうか。もし大部分を占めているなら、頑張って減らしてください。しかし、ほとんどの企業はそうではありません。そんな企業は、IT費用よりも企業のコスト全体をどう減らすかを考え、そこにITを活用して効果を出すようにしましょう。

 CIOや経営者に話を聞くと、コスト削減に注力しても、思いのほか結果を出すことができなかったという人が大半でした。コスト削減をもたらすのは、顧客へのサービスの質を高めたり、製品のライフサイクルを短くしたりするといった取り組みなのです。それは同時に、他社との競争優位性を生み出します。

 おそらく、日本のほとんどの経営者は、直接的な指標だけにとらわれすぎて、企業の価値や理念を忘れてしまい、目先のキャッシュアウトだけに目を光らせてしまうのでしょう。あなたは、なぜ経営者になり、企業を運営しているのですか? あなたの経営する企業はなぜ市場に存在しているのでしょうか? 改めて考え直してみる必要があります。

 ITは万能薬ではありません。あなたの崇高な目標を達成するために、とても頼りになる道具ですが、その目標が財務観点だけでは、目標達成は不可能です。そんな浅はかな考えをしていると、顧客や従業員、取引先から見透かされてしまいます。

 コストを削減して、利益を上げる――その先にビジョンはありますか? 経営者であるあなたの責任において自分で考え、実行していくのです。あなたがもしこれらのことを他人事にしていても、それはすべて見透かされる結末なのです。

 企業規模が大きくなれば、そんなことは考えなくても「当社だけは潰れることはない」と考えているでしょう。1998年3月まで山一證券に勤めていたわたしが断言します。「そんなことはない、あなたの会社も潰れます」と。あなたが経営者だったお陰で潰れてしまいます。経営するということに自覚と責任を持って、会社の明日に向かって夢を語ってください。あなたの部下達が、生き生きと働けるように。


 次回は、「ITのコア領域」の一つであるITガバナンスについてご説明いたします。日本では、ITガバナンスの定義があいまいで、「言うことをきかせること」くらいの意味で使われることが多いように感じます。特にエンタープライズ・エフェクティブネスが低いと感じている方にお読みいただきたいと思います。

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著者プロフィール:小西一有 ガートナー エグゼクティブ プログラム (EXP)エグゼクティブ パートナー

小西一有

2006年にガートナー ジャパン入社。それ以前は企業のシステム企画部門で情報システム戦略の企画立案、予算策定、プロジェクト・マネジメントを担当。大規模なシステム投資に端を発する業務改革プロジェクトにマネジメントの一員として参画した。ガートナーでは、CIO向けのメンバーシップ事業「エグゼクティブ・プログラム(EXP)」の日本の責任者を務める。日本のCIOは、経験値だけでなく、最新のグローバル標準を研究した上で市場競争力を高めるべきとの持論を持つ。11月11〜13日に開催される「Gartner SYMPOSIUM ITxpo 2009」では「難局に立ち向かう:2010年CIOアジェンダ」と題した講演を実施し、エンタープライズ・エフェクティブネスを測定するためのチェックシートを会場で配布する予定だ。


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