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【最終回】お客さんを信用するな!つい踏んでしまうプレゼン失敗の地雷(2/3 ページ)

信頼を勝ち得たいからといって、顧客の言うことを何でも素直に聞き入れてしまうのは考えもの。顧客の真の課題を見つけて解決してあげることが、本物の顧客志向なのです。

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似たもの同士

 プレゼンの約束日が近づくある日、(前回の記事で紹介したように)わたしは考えるのをあきらめて、ヒントを探して街に出ました。わたしのオフィスは名古屋の繁華街にあり、一歩ビルの外に出れば、そこには多数の銀行が軒を連ねています。改めて眺めてみると、本当に多くの銀行があり、こんな中で競争するというのは本当に大変だなと、今さらながら感心してしまいました。

 わたしは特に目的もないままに、ブラブラといくつかの銀行店舗に入ってみました。少なくとも店舗の外見からは、銀行ごとの違いはほとんど分かりません。中に入っても、パッと見て気付くのは行員の制服が違うくらいで、それこそ銀行名を入れ替えて、看板を付け替えれば、どの銀行も変わらない気がしました。

 何気なく集めてみたチラシには、その銀行のキャッチフレーズが並んでいます。「ハートの●●銀行」「地域と共に歩む○○銀行」など。正直、みんな似たり寄ったりだなぁ……えっ? 待てよ、みんな違う銀行なのに、そう感じないのはなぜだろう。そうか、そういうことか!

 わたしは急ぎオフィスに戻り、集めたチラシからキャッチフレーズの部分だけを切り抜いて並べてみました。そしてはっきりと分かったのです。どれもみな似たようなものばかりで、よほど慣れ親しんでいないと、どの銀行のキャッチフレーズなのか分からないのです。どの銀行も自分たちの主張や得意分野などを踏まえて、短いキャッチフレーズの中に思いを込めているはずです。なのに、どの銀行も似たり寄ったりで、特徴が明確になっていない。日常、銀行をよく利用している人ならまだしも、まだ銀行を利用する機会が少ない学生から見たら、その違いなんて分かるはずもありません。

 要するに、学生にはX銀行の特徴やY、Z銀行との違いなんて理解されていないどころか、どの銀行も同じようにしか映っていないのでしょう。そう気付いて、改めて3行の入社案内パンフレットを読み返してみました。そして確信しました。3行とも、同じような作りのパンフレットで、国際展開、営業体制から福利厚生制度まで、一通り丁寧に説明しています。一冊だけ読んだならそれなりに魅力的だと感じるところもあるでしょう。でも、もし比較しながら真剣に読み比べた学生がいたとしても、専門知識に乏しい彼らには、結局はその違いなんて分かりません。こうなると、いきおい規模で決めてしまう学生の行動も理解できます。

 X銀行の人事責任者は、学生にY、Z銀行との違いを説明しているということでしたが、本当にその違いが伝わっていれば、結果は変わってくるはずです。ひょっとすると、X銀行側も、他行との違いをきちんと気付いていないのではないでしょうか。仮に気付いていても、学生にうまく説明できていないのではないでしょうか。

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