検索
ニュース

右脳的なアプローチで真の経営課題を抽出せよ論点思考のススメ(1/2 ページ)

ボストン コンサルティング グループの前代表を務めた内田和成氏が近著のタイトルでもある「論点思考」をテーマにした講演で、ビジネスにおける課題解決の勘所を紹介した。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

 アイティメディアは2月19日、企業の経営層に向けたセミナー「第12回 ITmedia エグゼクティブ セミナー」を開催した。「論点思考のススメ――今リーダーに求められるのは論点抽出力」と題した基調講演では、世界的な経営戦略コンサルティングファームであるボストン コンサルティング グループ(BCG)の前日本代表で、早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授が登壇し、長年のコンサルティング業務において培われた「論点思考」を紹介した。

 BCGをはじめ多くのコンサルティング会社では日ごろより「issueは何か」という問答が繰り広げられているという。issueとは「問題」と訳されることが多いが、内田氏によるとBCGでは「論点」と表現している。論点とは解くべき真の課題であり、最も重要な課題を指す。

論点は変化し続けるもの

早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授
早稲田大学ビジネススクールの内田和成教授

 企業において論点を検討する上で注意しなければならないのは、論点が変わると施策も変わること、経営資源に限りがあるためすべての論点に応じることはできないということである。例えば、オフィスに泥棒が入ったとする。この場合、論点になるのが防犯体制の整備なのか、盗難品の中身なのか、社内の報告プロセスなのかによって、その後の対応は大きく異なる。また、論点は人や企業の立場によっても変わる。泥棒が入ったという同じ事象でも、それが一般企業での出来事と、防犯などのセキュリティ業務を専門とする企業でのことでは論点の重要度が大きく異なる。さらに、論点は時間によっても移り変わるものである。例えば、1年半前と現在のトヨタ自動車の経営課題がまったく異なっているのが好例であろう。

 このように人によって、あるいは時間とともに、論点が変わってくるので、とてもすべての論点に答えを出すわけにはいかない。にもかかわらず、すべてに手を打とうとする企業が多い。内田氏は「もっとメリハリをつけて、解くべき課題を優先すべきだ」と指摘する。

 論点を設定するという、問題解決の最上流プロセスが「論点思考」である。これを用いることにより問題解決の速度は上がり、得られる効果はより大きくなる。しかし、ここで起こしてはならない最大のミスは間違った問題を解いてしまうことである。経営学者の大家であるピーター・ドラッカーの金言にも「経営におけるもっとも重大な過ちは、間違った答えを出すことではなく間違った問いに答えることだ」とある。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る