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「エグゼクティブ=メタボ」のイメージから脱却しよう――代謝機能の評価エグゼクティブのためのアンチエイジング(1/2 ページ)

かつて「でっぷりお腹はエグゼクティブの証」と言われた時代もありましたが、今は違います。メタボリックシンドロームの象徴であり、生活習慣に対する自己管理能力が疑われます。

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 代謝とは、ある物質が作られたり分解されたりしながら、ある一定の状態を保つ機能を意味する言葉です。具体的には糖が合成されてグリコーゲンという貯蔵物質になったり、糖が分解されてエネルギーが産生されたりする化学的な反応のことです。エネルギー代謝といった場合には、食事や飲み物として入ってきたエネルギーが一部は体内での貯蔵と臓器・器官の修復維持に使われ、残りは活動エネルギーとして消費され、入ってくるエネルギーと出てゆくエネルギーがいつもバランスの取れた状態にあります。

 そのほかにも脂肪代謝や蛋白質代謝という具合に、身体の至るところでさまざまな化学反応が営まれています。

 時には体内に有害物質・毒物が侵入する場合があります。これに対して身体は図のような仕組みで毒物を分解して無毒化したり(解毒)、体外へ排泄する機能があります。このような仕組みは毒物代謝や体内浄化などと呼ばれています。体内浄化のコツとしては1. 十分な水分摂取(心臓や腎臓に障害がなければ1.5〜2リットル/日)、2. できるだけ有機減農薬の食材を摂取する(インスタント・レトルト食品・添加物を避ける)、3.汗をかく(サウナもいいけど運動して発汗する方が良い)、4.便秘をしない、5.食物繊維を摂取する(腸管内の善玉菌をふやします)などです。


図 解毒と排泄の仕組み

 人間の代謝システムは不安定な状態にもある程度対応できるようにできています。数千年もの間、厳しい自然と闘って生き抜いてきた過程で食糧不足や飢餓に対して準備は整っています。しかし現代のように飽食の時代となると話は別です。食べ過ぎによる過剰のエネルギーをどのように排除するのか、近年ではそれが大きな問題になっているのです。

 口から摂取された脂肪分は消化管内で消化され、脂肪酸という物質に分解され小腸から吸収され、門脈という血流にのって肝臓に運ばれます。脂肪酸の一部は血管の周りの組織である大網の脂肪細胞に蓄えられます。これが内臓脂肪です。脂肪酸の量が過剰になると、いろいろな細胞に分化する能力を持つ幹細胞を刺激して、どんどん新たな内臓脂肪細胞が作られるようになります。それぞれの脂肪細胞は脂肪を溜め込んで、肥大化します。

 その結果、下腹部がぽこっと出た中年太りになってしまうのです。かつて「でっぷりお腹はエグゼクティブの証」と言われた時代もありましたが、今は違います。でっぷりお腹はメタボリックシンドロームの象徴であり、エグゼクティブとして生活習慣に対する自己管理能力が疑われます。エグゼクティブ=(イコール)メタボのイメージから脱却すべきです。


表 内臓脂肪細胞が分泌する物質
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