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ビジネスによってITガバナンスはどう変化するか(2)Gartner Column(2/4 ページ)

事業の方向性の相違によりITガバナンスがどのように変化するのかについて、3回に分けてご説明します。今回は2回目、アジリティ志向の企業について考えます。

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アジリティを高める行動に注力する

 企業が標準を採用しつつ敏捷性を維持するには、巧みなバランスが必要です。そこで、企業カルチャーから考慮し、最低限受容れ可能なトレードオフポイントが設定されます。そこで重要となるのが、IT基本原則を一元的にハイレベルで策定することです。これにより、ビジネス活動の指針となる基本原則が確立されます。ただし、事業部門が遵守義務を負うことが条件となります。IT基本原則が明快であれば、容易に浸透させることが可能です。また、IT基本原則は伝達のための頼もしい仕組みであり、これに基づくことでビジネスの最前線部隊(顧客対応部門)へも伝達は円滑に実行されます。

 目標はビジネスの最前線部隊(顧客対応部門)の即応性を高めることです。そこで、事業部門とIT部門による共同の意思決定メカニズムにおいて、この企業カルチャーを浸透させることに注力します。IT基本原則において、各事業部に権限を付与し、IT投資の促進を図ります。IT部門はビジネス・ケースの作成を支援することはできますが、その結果に対して責任を負うのはあくまで事業部門です。また、意思決定権を可能な限り組織の下層レベルに設定することで、賛同を得やすくなります。ITプロフェッショナルを事業部門に配備することも有益です。事業活動が行われ、社内外の顧客ニーズに最もフォーカスできる領域が事業部門であるためです。

 さらに、アジリティを向上させるITの活用法に関して、エグゼクティブや事業部門のマネジャーを教育するのも効果的です。業務の成功に役立つと判断される実践体験やイベントを提供します。

  • 事業部門とIT部門による共同の意思決定メカニズムでは、顧客対応部門の即応性を重視するカルチャーにフォーカスする
  • 明快なIT基本原則を一元的に制定し、ビジネス活動の指針として活用する
  • IT基本原則を伝達手段として活用する
  • 事業部に権限を付与して、IT投資を促進する
  • ITプロフェッショナルを事業部門に配備して、顧客ニーズに注目する
  • エグゼクティブやマネジャーを対象とした教育的活動を企画し、それが成功に役立つ企画であることを強調する

 図4は、アジリティ志向の企業での実際のITガバナンスマトリックスです。意思決定のさまざまなところに、事業部門長が関与していることが分かります。年次のITイベントも重要なガバナンス・メカニズムの1つになっていることにも注目したいです。


図4

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