ユーザー視点のIT実現へ大和総研らが「クラウド同盟」結成:日本発クラウド標準へ
ユーザー系IT企業3社が基幹系システムの領域でもクラウドを活用すべく技術推進グループを立ち上げることで合意した。高品質のサービスを求める日本のユーザー主導で標準化に取り組む意義は大きい
「企業の枠を超えた効率化を図るべく、ITの新しいステージを切り開きたい」── 大和総研ホールディングスの深井崇史社長は、「クラウド同盟」を発表する記者会見で力を込めて話した。
大和総研ホールディングス、新日鉄ソリューションズ、およびパナソニック電工インフォメーションシステムズのユーザー系IT企業3社は10月5日、基幹系システムの領域でもクラウドを活用できるよう共同で技術推進グループを立ち上げることで合意した。
「クラウドはITインフラの効率化が期待されているが、基幹系システムへの適用となると難易度が上がり、なかなか踏み切れていない」(深井氏)
クラウドを活用するには、サーバ、ストレージ、ネットワーク機器、OS、仮想化ソフトウェア、データベース、運用管理ツールなどをインテグレーションする技術やノウハウが必要となるが、ミッションクリティカルな基幹系システムともなれば、日本のユーザーが期待する高い品質で運用保守することも求められる。これまでであればユーザーごとにさまざまなクラウド機材やソフトウェアを組み合わせ、検証し、運用保守の手法も確立しなければならなかったが、3社が技術推進グループを組むことで短期間でより高い品質のサービスを提供できるようになるはずだ。
今回3社のユーザー系IT企業が結成したクラウド同盟は、金融、鉄鋼、電機がそろっており、非常にバランスがいいが、大和総研ホールディングスの深井氏は、「日本のユーザー主導で標準化を図る意義は大きい。広く賛同を募っていきたい」と話す。
3社はそれぞれの親会社=ユーザーに対して、ユーザーの視点に立ってITの利便性を追求してきたが、業種の異なる各社が協力して技術検証・標準化していく過程で、ITの在るべき姿について多くの気づきも得られるという。
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