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その構造的な原因リレーションシップ・クライシスという名の危機(3/4 ページ)

第2回は、リレーションシップ・クライシスが起こる構造的な原因についてお話したいと思います。なぜこの現象がある特定の組織だけではなく、社会的な規模で起きているのかをまず考えていきましょう。

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「状況の悪化」

 組織として合意を得られた形での打開策がなかなか出ないので、危機感を持った意識の高い人達は自分の職務の範囲内だけで個別に試行錯誤をします。この段階ではまだ原因を特定の人に帰結させていないことも多くあります。

 しかし、現在、多くの組織が直面している問題は一人の努力で解決できるようなものではありません。複雑な問題においては、たとえどんなに優秀な人が努力しても、一人では状況は改善せず、それどころか自分で将来の自分の首を絞め悪化させてしまうということが起こり得るのです。

「犯人探し」

 自分でできることはやったが状況は変わらなかったという結果と、自分の影響を及ぼせる範囲外にしか原因はないという確信が高まってくるにつれて、人は特定の主体者(人や部門)を原因だと考えはじめます。

 例として、営業の場合で考えてみましょう。

 売り上げが伸び悩み始めたとき、はじめはより多くのお客さんにアポをとったり、提案をしたりするなどのできる限りの努力をするかと思います。

 しかし、いくらアポや提案数を増やしても売れないと分かったとき「商品が差別化出来ていないから売れない」「会社に戦略がないからいけない」と考え始めます。

 自分にできることをやり尽くした結果、原因は自分以外にしかありえないと確信するという『積極的な他責』状態になるのです。本人からしてみると、「言い訳でもなんでもなく、自分は努力し、実際に試行錯誤したからこそ分かったことだ」という揺るぎない確信が存在しているのです。

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