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部下にレッテルをはる上司ビジネスマンの悩み相談室(1/3 ページ)

あなたは部下を見て第一印象で「あいつはこういうやつ」と決めつけたりしていないだろうか。今回はそのことについてお話ししたい。

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 2010年も気づけばあと1カ月あまり。年末に向けてそろそろ忙しくなっているだろうか。

 ところで、あなたは部下を見て第一印象で「あいつはこういうやつ」と決めつけたりしていないだろうか。今回はそのことについてお話ししたい。

事例

 あるIT機器メーカーのD課長は、相手のことを決めつける傾向がある。B課長の部署にN君が新しく配属されてきた。挨拶に来たN君を見て、B課長は眼光が鋭いと感じ、少し生意気なやつだという印象を受けた。

 数日後にN君が配属されて初めての会議が開かれた。今回の議題は来年初めにできあがる、ある機器の販売戦略をどうするかということ。N君は声高に言った。

 「前の部署で新製品の販売戦略をしたことがあり、うまくいきました。とりあえず事前にどれだけ告知できるかがカギになります。お得意様にメールでその商品について事前に知らせるのがいいと思います」

 「確かにいい考えかもしれないが、メールでいいのか。会いに行ったほうがいいのではないか」

 「もちろん会いに行くのもいいのですが、ただ製品ができる前だと、わざわざ時間をとって会っていただいても、実際の製品を見てもらえず、イメージが湧かないと思うのです。まずはメールで話を伝えたらいいと思います」

 「わたしの時代にはメールなんてしていなかった。何はともかく会いに行くことが大切だったよ」

 「でも…」

 「とりあえずは会いに行くことにしよう」

 自分の意見に歯向かおうとするN君をB課長は強引にねじ伏せてしまった。B課長の中で、N君は生意気なやつだという考えが一層強くなった。

 N君は不本意に感じながら、しぶしぶと従った。


第一印象は本当に正しいのか

 ここで言えることは、D課長はN君が配属されてきた当初から、目つきが鋭く、生意気そうだという印象を持っていたということである。その印象を持っていたので、会議のときに自分と異なる意見を言ったことで、その気持ちがさらに高まってしまったのである。 第一印象は本当に正しいのだろうか。

 よく第一印象で人が分かる、という人がいる。実は、この第一印象は「自分」にとって当たるのである。第一印象をきっかけに、無意識のうちにその印象に沿ったやり取りを展開するので、結果として第一印象が正しいということになる。つまり、必然的に当たるのである。

 初対面で会ったある人を見て「気さくそうな人だ」と思うと、気軽に話しかける。自分が相手に対して気さくな行動をとるので、それを見た相手も自分のことを気さくで明るい人だと思う。そして、相手も緊張がほぐれ、初対面だというのに、気さくに話しかける。結果として、初対面の相手から気さくに話しかけられ、やっぱりそうだった、予測は当たっていたと思うのである。

 そして、自分は第一印象で人を見抜けると考え、自信を持つ。しかし、それは自分で演出した結果なのであり、予想が当たったのではなく、自分が誘導したのである。人を見る目があるという人は、実は無意識に自分が誘導しているのである。

 逆に、最初に「イヤなやつ」と思ったら、自らもそう対応するので、相手も同じように反応し、やはり「イヤなやつ」だということになる。

 「いい人」も「悪い人」も自分が作り出しているのである。わたし自身は、第一印象が間違ってはいるとは言わないが、それだけで判断をしてはいけないと思っている。思い込みや決めつけると、その色眼鏡で部下を見ることになる。決めつけられた部下はどうだろうか。非常に窮屈な思いをするだろう。

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