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いまだ健在の日本ブランド活用も、バンコクで考える新たなオフショアBPO女流コンサルタント、アジアを歩く(1/3 ページ)

いまだに「日本ブランド」が健在だというタイで、BPOサービスを提供する企業を視察して見えた新しいサービスモデルやビジネスモデルについて考察する。

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 日本国内においても、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)のサービスが広がっているが、そのサービスをタイなどのアジア新興国で提供する企業や、それを利用する企業がある。本稿では、タイでBPOサービスを提供する企業を視察して見えた新しいサービスモデルやビジネスモデルについて考察する。

 1990年代初旬のバブル経済の崩壊により、日本企業は、事業の見直し、いわゆるリストラクチャリングを迫られるようになった。「選択と集中」が重視され、アウトソーシングサービスが脚光を浴びるようになった。現在では、多くの日本企業がアウトソーシングサービスを提供し、利用している。

 そして、一部のアウトソーシングサービスは、日本を拠点とせず、海外を拠点としてサービスが行われるようになってきている。海外を拠点としたアウトソーシングサービスというと、かつては、ITアウトソーシングが多かったが、最近では、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)も提供されるようになっている。

 わたしは、タイ・バンコクにある日本企業向けのBPOセンターを訪問した。そこで目にしたものは、これまでの海外拠点型BPOのイメージとは異なっていただけでなく、新しいサービスモデルやビジネスモデルのヒントとなる「日本人の、日本人による、日本人のためのビジネス」であった。

タイ・バンコクのBPOセンターを訪問

 2010年10月、わたしはバンコクを訪れた。バンコクの中心部を歩くと、もはや「途上国」や「新興国」という言葉で表現するのが相応しくないことに気づく。先進国の都市と比べても遜色のない街並みと都市機能を備えている。

 そんなバンコクの中心部、チットロム駅にあるセントラルワールドの中に、「デリバリータイ」(Delivery Thai Co.Ltd)という日系企業が運営するBPOセンターがある。ビルの内装も新しく美しい。セキュリティにも気を配っており、エレベーターにはフロアを指定するボタンがなく、セキュリティカードで制御している。セキュリティカードには利用可能なオフィスのフロアが設定してあり、当該個人が利用できるフロアにしか行くことができないようになっている。


デリバリー社長の下前原隆氏(左)と、デリバリーリーダー宮田麻美氏.JPG

 ここで業務マネジメントを務めている宮田麻美氏の案内により、BPOセンター内を見学した。彼女は、わたしのかつての同僚である。わたしたちは、以前、日本企業のIT管理業務をBPO/ITOサービスとして中国の大連・上海に移管する業務に携わっていた。そんな縁があって、BPOセンターの見学の機会を得ることができた。

 BPOセンター内の雰囲気は、日本のオフィスやセンターよりも、欧米のものに近い。ガラスで仕切られたミーティングルームがあり、それぞれプロジェクターなどの機器が備え付けられている。従業員がゆったりとくつろげるリフレッシュルームがあり、お菓子や雑誌などがある。窓からは美しい街の景色が見られる。「快適なオフィス」というイメージにぴったりである。

 この「デリバリータイ」のBPOセンターでは、以下のような業務をアウトソーシングサービスとして提供している。

 この表でわたしが注目したのは、カスタマーサービスである。確かに、中国の大連や上海にもカスタマーサービスを提供しているBPOセンターは存在するわけだから、同じように現地で日本語を話せる要員を集めてサービス提供できるだろう。しかし、バンコクで、日本語を話せる人がどれだけいるのか、どうやって要員を確保するのか、という点で疑問を持った。

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