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2011年はどんな年伴大作「フクロウのまなざし」(1/3 ページ)

常日頃、『木漏れ日』と『フクロウの眼差し』という2本のコラムを執筆していて悩んでいる。

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 常日頃、『木漏れ日』と『フクロウの眼差し』という2本のコラムを執筆していて悩んでいる。「木漏れ日」はコンピュータに関連するテーマで「これは」というモノを題材にして書くので比較的気楽に書けるが、「フクロウの眼差し」は経営サイドがタメになるという枠にはめて書いている。

 従って、テーマが限られる。非常に失礼な話だが、ITの素人にも興味を持ってもらえて、読んで理解してもらわなければならない。従って、フクロウの眼差しの方が木漏れ日より数段難しい。そんな厳しい状況の中で今年も年の瀬を迎え、2010年を振り返りとか、来年は、とかというテーマで書くチャンスが巡ってくる。ライターにとってこれはまさに「慈雨」だ。

2011年を予測する前に

 11月末で家電エコポイントが事実上終了した。9月に自動車のエコポイントが急に終わった時以上に駆け込み需要は盛り上がったようだ。テレビは来年アナログ放送が停波になる。総務省も「地デジカ」を使って宣伝に余念がない。これだけ煽られれば、消費者が「この際」と判断して買ってもおかしくはない。テレビ以外でも、季節はずれのエアコンや、冷蔵庫なども売れたようだ。

 9月に自動車のエコポイントが予算に達して打ち切りなったが、こちらも一種のフィーバーになった。家電、自動車など耐久消費財が売れたのは、補助金行政で一時的な需要増であったにすぎない。自動車の販売数が落ち込んだごとく、家電業界も、反動で来年前半業績低迷に悩むことになるのは明らかだ。

 このように、消費拡大の仕掛けにより景気を刺激する政策は2010年の経済の特徴だった。

 それ以外に国内消費では、ユニクロ、ニトリに代表される格安で品質やデザインが合理的な商品を提供している企業の業績が良かった。この分野ではH&MやZARA、フォーエバー21が日本市場に参入した。一方、日本の有名ブランドの1つであるダーバンが中国資本に買収された。家具ではIKEAが販売拠点数を増やし、高額家具を中心とする大塚家具も店舗数を増やし、アパレルが主であった島忠も家具の取り扱いを増加させた。

 前記した家電でも、流通・小売は激変の嵐に巻き込まれている。もちろん、嵐の中心に居るのは「ヤマダ電機」であり、それ以外のチェーン店では都心に巨大店を展開するヨドバシカメラ、ビックカメラのような例もあるが、全般として大型店が中小の市場を奪う形が進行している。この動きは書店も同様だ。逆に、コンビニが全般に好調で、スーパーマーケットや百貨店の業績は低迷したのが、2010年の特徴だ。

 これらのことから、消費者は相変わらず臆病で、高額な買い物をせざるを得ない場合、量販店など品ぞろえの幅が広く、低価格で販売する店舗を選択するのが2010年の消費の特徴だったといえる。

生産財の総括

 目を生産財の景気に転じる。こちらは、欧米の金融政策の影響で為替が円が高止まりしたため、輸出が低迷した。一方、電力のように原材料の輸入価格は下がり、為替差益が出た企業もある。だが、今年の夏の暑さで電力消費が史上最大を記録したにもかかわらず、一般消費は低迷した。

 交通機関なども、民主党の高速道路料金見直しなどの影響を受け、フェリー運行会社、JR、航空輸送などほぼ全面的に低迷した。そのほかの重機械や産業用機械は円高の影響と国内需要の落ち込みでこちらも全般的にさえない業績となった。

 化学品業界もアパレルが駄目、石油を原料とするプラスティック製品も駄目となると業績はほかの業界と同じ。円高差益も、原料のナフサ高騰の影響で振るわなかった。

 建設土木は公共事業が大幅に削減されたので、当然のことながら収益減。民需も振るわないため、各社とも海外展開に躍起だが、カントリーリスク、韓国勢との競合でこちらも苦戦を強いられている。

 以上が産業全般を見回した今年の景気動向だ。全般としては一時の恐慌的な局面からは脱したものの、依然として不況下の状態と言って良いだろう。エコ補助金で潤った企業もあったが、それは一部である。

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