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グローバル企業で働く人材に求められるスペック点検 あなたは日本を出ても活躍できるか(3/4 ページ)

わたしはこれまで大手総合商社などで合計20年以上にわたりクロスボーダービジネスに携わって参りました。

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 ビジネスパーソンに限っていうと、英語学校などで「英会話を学ぶ」より、例えば英語で教えるビジネススクールに通う方が英語力向上には有効であると思います。つまりビジネスパーソンは「英会話を学ぶ」のではなく「英語でビジネスを学ぶ」ことのほうがより重要であると考えています。

 ビジネスの場では受験英語で鍛えられた(?)日本人がよくこだわる三単現のS、不定冠詞などの細かい文法はほとんど必要とされません。やはり自分の言いたいことを明確に論理的に伝える力のほうが圧倒的に重要です。

 一般に日本人はあまり論理的思考法を学校教育で学んでいないので、英語ができない上に論理的でもなく、クロスボーダーなビジネス環境で説得力のある議論ができません。かくいうわたしも、国内のビジネススクールで初めてクリティカルシンキングを学んだ際はいわゆる「目からウロコ」状態であったことを覚えています。

 英語環境のビジネススクールでは英語で経営学を学びながら論理的な思考能力も鍛えられますので、一石二鳥です。とはいえ英語にあまり自信がない方に英語のビジネススクールをおすすめしても少しハードルは高いでしょう。例えば大前研一さんが経営するビジネスブレークスルー社が提供する「実践ビジネス英語講座」や、シンメトリージャパン社が提供する「ウォールストリートジャーナルで読むビジネス英語の法則」などの講座で、英語環境でビジネス、経済など学ぶことは有効であると思います。

 上記、シンメトリージャパン社が提供する英語セミナーにわたしも出席した経験があります。参加者のTOEICの平均点数では750点以上でしたが、多くの受講者は短い記事の内容(論理)を構造化するチャートを作成できませんでした。英語の意味が理解できても記事の論理展開を理解していないのです。

 やはりこれは単に英語力の問題ではなく論理的思考能力が不足しているということでしょう。これらの講座は仕事で通用する英語、有名新聞を題材にして英語で論理展開、経済学を学ぶことが特徴であり「英会話を学ぶ」こととは次元が違います。

 なお、組織開発、企業変革のコンサルティングを手がける船川淳志さんによると英語は高コンテンツ、日本語は高コンテクストの言語であると言われています。つまり英語はコンテクスト(文脈)にはあまり左右されないのでコンテンツ(内容)が重要であり一方、日本語は相手の言ったことの背景などを察して解釈するので、コンテクスト(文脈)がより大事であるということです。

 こういった考え方も理解した上で「英語で学ぶ」姿勢がないと実践で役立つ英語力はなかなか身につかないかもしれません。さてわたしも英語は決してNativeではありませんので、日々努力は続けております。そういった経験からさらに初歩的なアプローチとしてわたしがお薦めする方法は以下の3つの手法です。

 それは、Massive inputs、No dictionary、Many feedbacks。

 つまりたくさんの英語を読むこと、分からない単語にはあまりこだわらない、フィードバック(指摘)を受けることの3つです。

 なんだ、そんなことかの声も聞こえてきそうですが英語はしょせん言葉なので、習熟のための近道はないと思っています。ぜひお試しいただきたいと思います。

 1つ目のMassive inputの背景としては、日本人の英語力が低い原因はやはりInput不足が最大の問題であるとわたしは考えているからです。わたしも英国駐在時代には通勤の行き帰りに地下鉄でFinancial Timesを毎日読みました。毎日こつこつと続けているとわたしの英語力は一年ほどで格段に向上しました。現在はFinancial Time,Wall Street Journalなどはインターネットを使えば無料で読める記事も多くありますし、iPhoneなどのデバイスを使えば通勤電車などで英語を読むことは容易な環境です。

 これらの記事を、論理展開を意識しながらひたすら読むことをおすすめします。是非inputをどんどん増やしていただきたいと思います。

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