この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
正解のない世界で、日々決断を求められるビジネスリーダーは、自分の不安や恐怖に打ち勝たねばなりません。恐怖という感情を乗り越えるためには、「精神的に強くなること」や「物事に動じない肚をつくること」、「経験を積むこと」などが必要だと言われてきました。しかし、実は恐怖という感情は、そのような精神論ではなく、技術(スキル)でも乗り越えることが可能です。
まず、不安や恐怖などの感情が生まれる心理的メカニズムを見てみましょう。
出来事 → 信念 → 意味付け → 質問 → フォーカス → 感情
同じ出来事でも、人によって不安を感じる人も、全く感じない人もいます。これはその人がどんな信念を持っているかによって差が生まれます。例えば、以下のような例です。
マイナスの感情を生むパターンの例
出来事:政府の優遇措置がなくなって、自社を守ってきた環境面の強みが失われた
信念:環境変化に適応することは容易ではない
意味付け:この環境変化は会社存亡の危機だ
質問:環境が悪化する中、どうしたら利益を確保できるだろう?
フォーカス:悪化している環境と、自社の苦境に意識(フォーカス)が向く
感情:不安、心配、焦りなどを感じる
プラスの感情を生むパターンの例
出来事:政府の優遇措置がなくなって、自社を守ってきた環境面の強みが失われた(出来事は前者と同じ)
信念 :環境変化はイノベーションと飛躍のチャンスである。我々には困難を乗り越える強い意志と力がある
意味付け:この環境変化は、自社をより強くするチャンスである
質問:新しい環境における競合優位性は何だろうか?
フォーカス:業界の変化、競合の動向、時代動向、自社が捉えるべき機会に意識が向く
感情:挑戦意欲、モチベーション、気概、充実、適度な緊張感などを感じる
同じ出来事でも、各人の思考パターンによって、得られる感情が全く異なります。感情がプラスでもマイナスでも、正しい判断と実行ができれば、どちらでも構いません。しかし、不安を感じた状態では、人は往々にして視野が狭くなり、誤った判断をしがちですので、不安を感じなくする方法を知っておいて損はないでしょう。
上述の「感情を生む心理的メカニズム」の中で、1つだけ自分で簡単にコントロールできるものがあります。それは質問です。自分に優れた質問を投げかけることで、またはコーチやコンサルタントに優れた質問を投げかけてもらうことで、より良いフォーカス(意識が向かう焦点)をつくることができます。
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