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マレーシアで見た、ローカリゼーション・アプローチとしてのダイバーシフィケーション女流コンサルタント、アジアを歩く(1/3 ページ)

民族構成が極めて複雑なマレーシアで、資生堂マレーシア取締役社長の河内正之氏に、マレーシアでの事業運営や市場動向、現地ならではの取り組み状況などについて聞いた。そこには、ローカリゼーション・アプローチとしてのダイバーシフィケーションがあった。

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“SHISEIDO”を支える従業員の皆さん

 マレーシアと聞いて、どのような印象を思い浮かべるだろうか。最近では、マレーシア政府観光局のCMもCS放送で頻繁に流れており、自然豊かなこの国に対して、観光立国のイメージを強く抱くかもしれない。また、英国植民地時代からのゴムのプランテーションや天然ガス・錫の掘削のイメージが強いかもしれない。

 しかし、マレーシアは、1981年から2003年の22年間続いたマハティール・ビン・モハマド政権の下、日本や韓国を手本に工業化と経済成長をいち早く達成し、従来の農作物や鉱産物の輸出、観光業に依存した体質からの脱却を果たしており、シンガポールとともに「東南アジアの優等生」と呼ばれている。そして、近年、アジア新興国が注目を集める中でも、その代表的な国であり、アジア新興国を考える上では外すことのできない国であるといえるだろう。


マレー街:クアラルンプールの象徴、スルタン・アブドゥル・サマド・ビル

 わたしは、弊社アジア新興国担当である野村修一の紹介で、資生堂マレーシア取締役社長の河内正之氏と面会させていただく機会を得た。あくまでも河内氏の個人的な意見・見解として、このマレーシア市場に対する考えを率直に語っていただいたが、そこには、興味深い“ローカリゼーション”への取り組みがあった。これは、アジア新興国に事業拠点を構え、製品やサービスを広める際に、極めて重要な要素となるだろう。

民族構成が極めて複雑なマレーシア

 マレーシアは、極めて複雑な民族構成を持つ国家のうちの1つである。人口は日本の5分の1の2,861万人(2009年)程度であるが、マレー系が約62%、中国系が約23%、インド系が約7%、そのほかが約8%といった構成になっている。宗教的に見ると、イスラム教が国教となっており、マレー系を中心に広く信仰されているが、中国系には仏教徒、インド系にはヒンドゥー教徒が多く、さらに英国植民地時代の影響でキリスト教徒も相当数いる。言語的には、国語としてマレー語が定められているほか、英語、中国語、タミル語も公用語となっており、そのほか地方言語も加えると200もの言語が使われている。


インド街

 このように民族構成が極めて複雑なマレーシアでは、例えば、休日/祝祭日を取ってみても、日本とは大きく異なる様子を垣間見ることができる。マレーシアでは、国レベルの祝祭日、州レベルの祝祭日に加え、各宗教の祝祭日があり、特定の宗教に属さない私などからすると、とても祝祭日が多いように感じてしまう。


中国街(豚肉乾がたくさん売られている。マレーシア発祥の中華料理、肉骨茶は大好物です)

 こういう環境に日本企業が進出し、業務やサービスを展開していくとなると、一筋縄には行かないだろう。おそらく、いろいろな工夫や苦労があるに違いない。わたしは、主に、マネジメントの観点およびマーケットの観点から、資生堂マレーシア取締役社長の河内正之氏に話を聞いた。

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