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坂道を転がり落ちるが如く伴大作「フクロウのまなざし」(2/3 ページ)

NECがPC事業を中国のLenovoと提携すると発表した。遠藤社長はPCはこれからのユビキタス時代で主役にならない、つまり、基幹製品としての地位はなくなったと語ったという。

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 ここで少し読者にも考えてもらいたい、Appleが編み出したビジネスモデルは、基本的にインターネットをベースにしている。だが、彼らが販売しているデバイスは確かに独創的ではあるが、使用されている部品は特段目新しいものではないことだ。秀でているのはUIだけといって過言ではない。それ以外で目を引くのは製品の価格だが、これも、大量発注が成しえたもので、その気になればどの企業でも可能なものだ。

 つまり、理屈で言えば、Appleの成功はどの企業にも実現する可能性があったのだ。Appleは優秀な経営陣が大胆な判断を行い、成功したにすぎない。

 インターネットの成功例として、われわれはAmazonとGoogleの例を知っている。Amazonはインターネットに特化したネット販売のパイオニアであり、Googleは検索エンジンで成功したが、実際にはインターネットの特徴を熟知し、検索を即座に実行するメカニズムであるクラウドシステム(巨大なPC Cluster)と分散型DBを開発したことで成功した。

 彼等の成功はいずれもこれまでITCの主役だったコンピュータ・通信機・ベンダーから一線を画し、独自の技術でユーザーのニーズをくみ取ったことにある。インターネットは従来のコンピュータ・通信業界の勢力図を根底から変えてしまった。

消え去る会社、勃興する新しい産業

 長い間、この業界に身を置いていると信じられないような事を何度か経験する。その際たるものがCrayとDecの消滅だ。

 Crayはスーパーコンピュータのトップベンダーとして一世を風靡(ふうび)した企業であり、Decは科学技術用コンピュータのトップベンダーだった。最盛期の両社の状況を知っている者としては、彼らがこの業界で果たした業績を称え、消え去ったことを惜しむしかない。

 米国では、幾ら大企業であっても、技術の変遷に対応できない会社は消え去るしかないが、日本では潰れたという話は聞いた事がない。米国では、倒産した企業から大量の優秀な人材が放出され、新たなビジネスの創出、既に創業を済ませたベンチャー企業への人材供給源となり、結果としてそれがビジネスのダイナミズムを維持、補強しているが、日本では、年功序列、終身雇用という制度が、既に出番のなくなった企業の市場からの退場を阻み、結果として産業のダイナミズム維持を阻害している。

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