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SEのコミュニケーション能力向上がITを「武器」に変える(新連載)エグゼクティブのための人財育成塾(2/3 ページ)

日本企業が新たな付加価値を出し続けながら成長するためには、各企業に属する「人」を本当の意味で「人財」とする取り組みが欠かせません。人財を育成するために必要な観点、取り組み方法などをテーマごとに取り上げていきたいと思います。

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 皆さんは、この会話を読んでどう思われますか? このようなコラムなので、ちょっと極端な例を書いてみましたが、このような会話を耳にする事は結構あると思います。この会話は、会話として成立していない可能性が高いですね。最大の問題点は、部長の話の真の目的が、クラウドの有効利用か、ITでの営業支援か、その両方かを明確にしないで、議論をしてしまっていることですね。

 また、目的が明確になっていないまま、SEは現状のシステム環境でSaaSを利用することの難しさを説明していますが、この説明を部長は理解しているでしょうか。ITを理解している人にとっては、至極当たり前の議論で、論理的に自分の意見を話しているように見えます。しかし、ITの知識が乏しい方には、専門用語の羅列にしかすぎず、何を言っているのか理解できない可能性があります。そうだとしたら、建設的な議論にならないのは言うまでもないですね。

 部長も、分からないのであれば、質問して分かるまで説明を聞いた上で議論すべきですが、このように当たり前のように専門用語で説明されると、相手はなかなか聞き返し辛いもの。やはり、ITの専門知識を持つSEが相手に分かるように話す必要があると思います。

 では、どうしたらそのような会話をSEができるようになるのでしょうか。勿論、コミュニケーションを円滑に行うための手法も必要ですが、まずは意識の持ち方一つでコミュニケーションは大きく変わります。

 そのポイントは、

  • システム化の目的の裏には、必ず真の目的(業務上の目的)がある
  • ロジカルかどうかは他人(ヒト)が決める

 という意識を常に持つことです。ここで大事なのは、「意識する」ということ。常に意識していれば、言動は必ず変わります。最初のポイントに関しては、「なぜ、なぜ5回」ではないですが、相手の目的を本当に自分が理解するまで確認する意識を持つことが重要です。今回の例では、仮にITでの営業支援が目的だったとしても、フィールドでのオペレーション支援なのか、データの有効活用による支援なのか、それ以外なのか、全く明確になっていませんね。

 ビジネスの現場にいない自分は、本当の目的を簡単には理解できないという意識を持ちながら、相手の真意を理解するまで確認させてもらう事が大事です。2つ目のポイントに関しては、「コミュニケーションは相手が決める」、相手が理解していなければ何も説明した事にはならないという基本原則を意識することが重要です。自分にとってロジカルな説明であっても、相手にとっては全くロジカルではない場合が多々あります。常に相手、つまり聞き手を意識し、相手がこちらの説明を理解してくれているかどうかを確認しながら言葉を選んで話をする事が大事なのです。

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