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企業が変革していく鼓動を感じ続けたい――GABAの上山社長石黒不二代の「ビジネス革新のヒントをつかめ」(1/4 ページ)

社員が元気になると、会社も元気になる。現場密着型の社長が企業を変革させる。

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 英会話スクールといえば、大手のNOVAやジオスが倒産に追い込まれるなど、決して順風満帆な業界ではないというのが一般的なイメージです。しかし、話を聞いていると、GABAは倒産した2社とはまったく異なる戦略を持っていて、経営状態はひどくだめ出しするほどではありませんでした。そこで、2008年10月に入社した上山健二社長に託されたのは、再生ではなく変革と表現したほうがよさそうです。そして、就任当時、営業利益率7%だった同社をすでに13%まで上昇させている上山さんはまさに変革者です。

 成功のステップを確実に上っているGABAの今後と、そして、長崎屋の再生を成功裏に終わらせGABAの変革に取り掛かった上山さんに焦点をあて、企業再生の試金石を探ります。


GABAの上山健二社長

誰もが困難だと思った長崎屋の再生

 上山さんは、キャリアは銀行からスタートします。住友銀行に11年間勤め、新規融資を担当した会社が店頭公開から2部上場に成長していく中、人材を厚くしたいと要望を受け、ジャック(現・株式会社カーチスホールディングス)という成長企業の若手副社長に抜擢されます。しかし、オーナー企業であるこの会社で不祥事が発生、会長・社長が逮捕されるという事件に発展し、社長職を引き継ぐことになります。再建最中のジャックの子会社売却にあたっての交渉相手が、再生人として名高いキョウデングループの橋本会長でした。

 一方、長崎屋は2000年に会社更生法の適用を受け、はげたかの異名をとる米大手投資ファンドサーベラスが20億をつぎ込んだものの、撤退しています。それをチャンスととらえたのは、キョウデンの橋本会長でした。ちなみに、わたしは橋本会長とテレビ番組で一緒になりましたが、その濃いキャラクターにびっくりした覚えがあります。上山さんは橋本会長とは似ても似つかないソフトな印象です。前述のとおり銀行出身で、銀行に残っても上を十分狙えたとの評判ですし、物腰はやわらかく、誠実さがインタビューの間も伝わってきます。橋本会長は、サーベラスが失敗した再建に、さらに40億をつぎ込み、ジャック退任後の上山さんに社長をやらないかと打診してきました。

 オーナー企業でオーナー自らが横領を行い、取締役会の書類すら偽造されていた経験から、上山さんはオーナー企業に対して疑心を持たずにはいられません。その経験から、すべてを透明に、言いたいことはしっかり言わせてもらうという条件を付けましたが、入社の決心をするのに4カ月を要しました。

 長崎屋は、倒産してから2年が経過していました。さぞかし、人心が痛んでいるだろうというのが上山さんの懸念でした。しかし、実際に店舗を見て、上山さんは「生きている店は生きている」のと、粗利率が崩れていなかったので再建の可能性があると確信しました。

 当時、売上はおよそ1500億円でしたが、経営が橋本会長に変わってから、小売りにありがちなバイヤー主導から、売り場主導に変えているところでした。上山さんは、その方針に全面的に賛同します。

 徹底した売り場主義を貫き、赤いエプロンをつけてパートさんと一緒に働いたり、話したりしていました。そして、上山さんが来ると、お客さまへの掛け声も大きくなり、お店は活気づきました。

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