秋山真之の勉強法
日露戦争の勝敗を決定付けたともいえる日本海海戦での名参謀が秋山真之である。
頭脳明晰といわれた真之の勉強に対する考え方を紹介したい。
「人の頭には上下などない。要点をつかむという能力と、不要不急のものはきりすてるという大胆さだけが問題だ」(『坂上の上の雲』、司馬遼太郎、文春文庫、2巻59頁)
真之は、優秀であるかどうかは、人の頭の良し悪しではなく、勉強のやりかたであるとしている。つまり、
(1) 要点をつかむ能力を高める
(2) 不要な部分を切り捨てる大胆さを持つ
海軍兵学校を主席で卒業した真之は、学校での試験問題の多くを事前に予測・的中させたという。
最近は、インターネットの発達もあり、多くの情報を瞬時にして入手できる。むしろ、情報過多の状況下、何が大切であるかをしっかりと見極め、余計な部分に振り回されない選球眼が必要である。
自分の不要な時間も切り捨てよう
真之は重要ではない部分を切り捨てて学べと言っているが、わたしはもうひとつ切り捨てるべきものがあると思っている。自分の時間の使い方である。
われわれは、「忙しい」を連発する癖がある。勉強の重要性は頭では分かっているのだが、忙しいことを勉強しない言い訳にしていることが多い。若手に勉強や読書を勧めても、「時間がない」との返事が戻ってくる。
兄の秋山好古の「生まれてきたからには一事を成せ」「単純明解に生きよ」という言葉にそのヒントがあると思う。
われわれは、余計なことを普段からたくさんしているのではないか。だから勉強をする時間がないと思ってしまう。人間だれにも平等に1日24時間が与えられているのであり、それをどう使うかが問題である。
自分の過去を振り返ると、恥ずかしながら、ずいぶん余計なことに時間を費やしてきた。ある球団の大ファンでスポーツ新聞を隅から隅まで毎日1時間もかけて読んでいたが、ある時自分がいくら応援しても優勝にはつながらないとあきらめて、新聞購読を止めたら、読書の時間ができた。
学生時代から続けていたパチンコも止めたら、週末の自分の時間がぐんと増えた。いずれ再開するつもりだが、ここ10年ほどゴルフも休止している。その後、振り返ってみると書物との付き合いがずいぶん深くなった。
友人や若手から時間がない、忙しいと聞くと、自分がやっている余計なことを切り捨てることを勧めているが、いかがであろうか。
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