手間を省くな、コストを省け:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/4 ページ)
多くの企業が、不景気の時だけコスト削減を行うという過ちを犯している。競争力を持って能率良く運営するには、景気に関係なくコスト削減を毎日行うこと。
資本的支出を減らす
資本的支出は会計簿に「使用した日付に原価で」記入されます。その価値は時が経つにつれ下がって行きます。減価償却とは会計技術の1つであり、資本的支出の一部をある一定の期間をかけて振り分けるものであり、その期間は「資産の耐用年数」によって決まります。英国の税法では減価償却費をビジネス経費とすることを禁止していますが、資本的支出の税金控除を受けることが出来ます。これは「減価償却控除」として知られています。
資本的支出を抑えるためには、光熱費や保険料、修理および保守費などを含めた、設備にかかる費用を検証する必要があります。立地もまた、費用方程式に織り込んで下さい。多くの場合、一等地に会社を構えることで得られる利益はわずかしかありません。
ボーダフォンは最初、ロンドンから約60キロ離れたニューベリーに本社を構えました。それにより、賃貸料や給与コストをロンドン市内で構えた場合にかかる3分の1に抑えることが出来ました。ボーダフォンは、2009年にロンドンの事務所賃貸料が30%低下した時、ついにロンドンのパディントンに移転しました。
また、もし使用していないスペースがあれば、ロンドンの家具照明の卸売業者であるアトリウム社が行ったように、そのスペースを貸し出しましょう。アトリウムは、その空いたスペースに移って来たサプライヤーに対し会計サービスの提供を行ったり、「元競合社」に倉庫の貸し出しを行ったりもしました。これに加え、その元競合社にはデリバリーと取り付けサービスも提供しました。オンラインで中古の設備や事務用の家具を購入することで、コストを削減して下さい。
ほとんどの企業が、実際に必要な額より平均して20%多くのコストをテクノロジーに費やしています。出版やデザインに携わっていない限り、アップル・コンピュータではなくPCを買いましょう。アップル・コンピュータはPCより3分の1は価格が高いです。また、コア・ビジネスにとって必要不可欠ではない業務は外部委託したり、フリー・ソフトウェアを使ったりすることで大きなコスト削減を図って下さい。
資産となりえるものをそろえる時になるべく費用のかからないものを使うこともコスト削減につながります。
この本のタイトルである「手間を省くなコストを省け」の真意がもしかするとここにあるのかもしれません。安いものを探すには手間がかかりますがコストを下げるためには必要不可欠なことではないでしょうか。
運転資本をモニターする
運転資本とは「企業を運営する際に必要となる短期的資本」のことです。資本を素早く回収することは、コストを管理する上で重要な事です。事実上、企業は即座に支払いをしない顧客に融資をしていることになります。支払いが遅れている顧客には「督促状」を送りましょう。回収不能金や回収遅れに関連するコストを、クレジットカード支払いを認めることで減らして下さい。クレジットカードを受け付けることで顧客の信用調査をする手間が省けます。次のようなツールや手法を活用し、運転資本の会計記録を残して下さい。
・流動比率:企業の短期流動性を示す。流動比率を算出するには、流動資産を流動負債で割る
・当座比率:企業が債権者に支払いをするために十分な現金を持っていることを保証するには、流動資産から全在庫数を引き、その数を流動負債で割る
・平均回収期間:売掛金を支払額(借方)で割り、その数値に期限までの日数を掛ける
・平均支払期間:平均回収期間と同じ計算式を使う。ただし、借方の代わりに貸方、売掛金の代わりに買掛金で計算する
・在庫保有日数:1年間という長い期間ではなく、例えば13週間など、短期間十分な在庫を保有することで、利子や保管スペースを節約する
・運転資本の循環サイクル:これを計算することで運転資本をどのくらい効率的に使えているかが分かる。計算式は、売上高を運転資本で割る
運転資本の回収のサイクルを上げると言うのは当たり前のようで意外とここは隠されたノウハウがあるのかもしれません。一般的に現金決算現金回収が一番確実な方法であるのですが、クレジットカード決算を認めることで信用調査も省けると言うのは確かにその通りですね。
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