法律は自社を守る「防具」 2つのコツで、ビジネスの法律を身につける:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/3 ページ)
法律に関係のないビジネスはない。仕事や経営のスキルが「武器」だとすれば、法律は、ビジネス社会を生き抜くための「防具」。どちらも必要不可欠である。
ビジネスの法律を学ぶ2つのコツ
・ビジネスの法律を学ぶコツその1:ビジネスに必要な法律に絞る
ビジネスに関係する法律はたくさんありますが、分厚い六法全書のすべてがビジネスに直結するわけではありません。弁護士になるための試験である司法試験でさえ、すべての法律が受験科目なわけではなく、憲法・行政法、民法・民事訴訟法、刑法・刑事訴訟法などに限られています。
それでは、ビジネスマンが、司法試験の受験科目を中心に勉強すればいいのかというと、そうではありません。なぜなら、司法試験の受験科目のすべてがビジネスに直結するわけではないからです。
例えば、取引の基本ルールは、「民法」に書いてあります。民法の条文は、1044条もあります。しかし、民法の725条から1044条までは、結婚・離婚とか相続のルールですから、とりあえず、仕事に直結することは少ない。
それ以外の民法の条文も、ビジネスシーンで実際にはあまり使わない条文が案外多いのです。刑事裁判のルールに関係する刑事訴訟法なども、ビジネスマンにとって、必須の知識とまでは言えないでしょう。「自分のビジネスに必要な法律を学べばいい」まずは、そう思うことで、法律への抵抗感を低くしてみてください。
・ビジネスの法律を学ぶコツその2:ビジネスの場面ごとに、法律を学ぶ。
ビジネスマンが、ビジネスに必要な法律を学ぶ2つ目のコツは、具体的なビジネスの場面ごとに、関係する法律を学ぶことです。司法試験に合格するのが目的であれば、民法、刑法などの受験科目を中心に、抽象的な法律の理論を、しっかりと勉強するべきでしょう。
しかし、「ビジネスに必要な法律知識を身につける」という目的のためには、抽象的な法理論を勉強するよりも、具体的なビジネスのシーンと関連付けて法律知識を学ぶことが大切です。
ビジネスの場面について、次のような「誰との間の、どんな場面か」という視点でグループ分けして、それぞれのグループに関係する法律を、まとめて学ぶと効率的です。
・あなたと誰との間のルールか(あなたの相手は、次のうちの誰か? )業者/消費者/第三者/会社/国
・ビジネスの、どんな場面でのルールか(次のうちの、どんな場面か? )取引(契約)/権利を侵害される(不法行為)/労働
例えば、消費者と取引(契約)する場面では消費者契約法や特定商取引法、第三者から権利(例:著作権)を侵害されるおそれがある場面では、不法行為法や著作権法、会社で労働する場面では労働契約法や労働基準法の知識が必要になります。
忙しいビジネスパーソンが法律知識を学ぶときは、自分自身の具体的なビジネスのシーンを思い浮かべながら、そのシーンに関連する法律を学んでいくのがよいでしょう。
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