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ファシリテーター型リーダーの「巻き込み力」〜その2エグゼクティブのための人財育成塾(2/3 ページ)

前回のコラムでは、ファシリテーター型リーダーの定義とその要件に関して解説した。今回は、ファシリテーター型リーダーが発揮すべき「巻き込み力」とは具体的にどのようなものかを理解するために、身近なケースを題材に解説する。

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目的と目的達成の手段を個人・組織で考える

 星君の提案した取り組みの根っこにある目的は、「社員のモチベーション向上」である。そして、この目的意識は「社員のモチベーションを上げて業績も上げたい」というところからきている。つまり、真の課題は「業績を上げるためにどのような取り組みをするか」にあり、この課題を解決するためには、

 ・攻め方を変えて効果を出す

 ・攻め方は今のままで効果を出す

という2つのアプローチのどちらに優先順位を置くかはまず考えるべきである。そして、「今の攻め方でも十分に効果を出し得る」と考えられるのであれば、

 ・組織/個人の能力を向上することで生産性を向上する

 ・無駄やミスを少なくして生産性を向上する

という2つのアプローチを考える事になる。星君の提案した「5Sによる仕事場の環境改善」という施策は、直接的には「ムダやミスの減少」につながるが、社員の「姿勢」を正すことで「やる気を高める」事も狙っているように思える。 確かにこれは1つの施策として検討に値するが、その施策のメリット・デメリット、更には他の施策を検討した上での優先順位も考えておく必要がある。その上で、この施策を提案するにしても、

 ・この施策が生み出す効果

 ・現在、自部署で5Sが実践できていない理由、原因

 ・どのような手法を用いることで5Sが実践できるか

の案は、考えておかなければいけない。このような事を個人だけで調査したり、考えたりしても限界がある。そこで、今回のケースであれば、

 ・5S活動で成果を上げている(ように見える)取引先、取り組みを紹介してくれた山下課長

 ・5Sを実践していて成果をあげていると思われる自社の部署や個人

 ・自部署の課題を普段から考えていると思われる人物

を巻き込んでブレインストーミングなどを行い、目的達成のために考え得る施策と効果、具体的な取り組み方法と実施に向けてのメンバーの負荷など議論し、取り組みの優先順位も検討した上で提案すべきだった。

組織を動かすために取り組みのオーナーを明確にする

 組織として取り組むべきベクトルを定める事ができれば、次に行うべきことはオーナーの特定である。今回のケースでは、星君がリーダーとしてオーナーシップを持ち続ける事はもちろん重要である。しかし、組織の取り組みでは自分よりも職位が上の人や他部署の人、取り組みに積極的に賛同しない人も動かす必要があり、自身の力では不十分と思われる時には適切な人にオーナーになってもらう必要がある。

 このケースでは、本来は近藤課長にオーナーになってもらうのが適切と思われるが、自身の5Sへの取り組みや会議で星君を支援していないところから判断すると適任ではないだろう。課内では、「他のやり方も考えてみては」と取り組み継続を支援する姿勢を見せている高橋係長の方が適任かもしれない。あるいは、この取り組みを営業2課で始めて、実績を出せば全社に広げていくという考え方があれば、より上位の人が適任かもしれない。

 いずれにせよ、「組織を動かす」という観点から、取り組みを後方から支援し必要に応じて権限も移譲できる人にオーナーになってもらえるような巻き込みを行う必要がある。

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