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石油ピークを迎えた世界が直面するエネルギーと経済の危機海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(3/4 ページ)

わたし達の生活を発展させてきたエネルギーを生み出している石油業界に崩壊の危機が迫っているという。これは米国だけではなく、先進国をはじめとする世界的な問題であり、地球規模で今後の取り組みを考えていかなくてはならない。

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エグゼクティブブックサマリー

イラクとサウジアラビア

 米国は何十年にも渡りイラクに大規模な軍隊を駐留させることになるでしょう。イラクはスンニ派が管理していない2つのエリアに回収の容易な石油を900億バレル保持していると言われています。(現在知られている世界最大の石油貯蔵量です)米国はイラクの首都に4つの頑丈な飛行場と巨大な要塞化された大使館を建設しました。

 そして、少なくとも50000人の兵士と軍従事者をイラク国内に駐留させると考えられています。ブッシュ―チェイニー政権はイラクの石油に狙いを定め、2002年の侵攻で3部からなるミッションを達成しました。そのミッションとは、1、イラクを制圧しイラクに国内外のエネルギー競争から手を引かせること。2、イラクをクルド派、シーア派、スンニ派の3つに分けること。そうすることで米国は石油のあるエリアを支配することが出来る。そして3、イラクの石油を入手できるようにすること、の3部で構成されたものでした。こうして手にした石油は米国に敵を叩くための棒と、中国や日本などの友人との繋がりを強めるための接着剤を与え、米国の経済に出資する短期国債の買い手をその気にさせました。

 サウジアラビアは米国に石油を供給する世界で2番目に大きい産油国です。そして、BBCによると、米国経済におよそ7500億ドルの投資をしました。アドナン・カショギやアルワリード・ビン・タラール王子などのサウジアラビア有数の大富豪はかなりの数の米国企業を保有しています。

 また、アルワリードは、シティグループ社、ニュースコープ社、アップル社、サックスフィフス・アベニュー社などの大手企業に投資しています。しかし、サウジアラビアは不安定なままです。王族によって統治されているこの国は人口問題に苦しみ、石油価格の暴落により国の状況は悪化しているのです。

 世界の石油の25%を貯蔵しているサウジアラビアは、石油を採掘し始めた60年前とほぼ同じ量を貯蔵していると強く主張しています。しかし、石油の専門家であるマシュー・シモンズは、多くの国の油田が枯渇に近づいていると反論しています。世界はサウジアラビアの油田と貯蔵量の実状を知らなければなりません。なぜなら、それらの減少は強烈な影響を生み出すからです。

 カーター政権以降、米国はペルシャ湾の石油関係者を、軍隊を使って保護すると明言しています。そしてサウジアラビアは米軍の保護に頼っています。そのため、イラク戦争ではサウジアラビアに駐留する米軍基地が大幅に強化されたのです。

 石油依存症の米国にとって、産油国はなんとしても配下に置きたい地域であることは間違いありません。石油というお宝こそが、世界のリーダーとしての米国の威厳を保つ、大きな材料となるからです。ともあれ、こうした産油国ですら、今枯渇の危険性がある事を忘れてはなりません。

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