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ファシリテーター型リーダーの「巻き込み力」〜その3:エグゼクティブのための人財育成塾(2/3 ページ)
前回のコラムでは、身近なケースを題材にしてファシリテーター型リーダーが発揮すべき「巻き込み力」とは具体的にどのようなものかを解説した。今回のコラムからは、ある出版社の電子書籍への取り組みを題材に、このスキルを実践的に活用するためのポイントを解説していく。
オーナーと取り組みの目的・ゴールを明確にする
まず明確にしなければならないのは、この取り組みの最終責任をとるオーナーである。今回のケースで言えば、高杉社長なのか、それとも高橋部長なのか。何かに取り組む際には、必ず重要な局面での意思決定が必要となる。その最終意思決定を行うのは、言うまでもなくオーナーである。
今回の取り組みでは、ともすると社長と部長の間でお互いにオーナーは相手だと思っているリスクがある。そうすると、何か意思決定が必要になった際にどちらも責任を取らず取り組みが暗礁に乗り上げる可能性がある。必要な予算や投資を含め、まずは最終的な意思決定者であるオーナーを明確にしておく必要がある。
そして、これが更に重要な事だが、オーナーと取り組みの目的、ゴールを明確にしておく必要がある。競合を含めた業界の電子書籍ビジネスに関する動向を調査し、今後の市場機会を見極めた上で自社の取り組みの方向性を決めるまでがゴールなのか、それとも具体的にビジネスを始めるまでがゴールなのか、実ビジネスで収益を出すことまで求められているのか。
ここでボタンを掛け違えていると、取り組み始めてから「そこまでの責任をとることになるとは思っていなかった」ということになりかねない。オーナーとできる限り具体的に取り組みの目的・ゴールを明確にする必要がある。
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