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住みやすい地球を守り続けるためにするべきこと海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(2/3 ページ)

「環境問題」それは地球上に住む人々にとってもはや他人事ではない重要な問題。このまま何らかの施策を施さねば、近い未来には地球上で人類が生活できない状態にまでなる危機的状態が進行している事を忘れてはならない。

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エグゼクティブブックサマリー

サスティナビリティの危機

 今、どの世代も地球の未来に対し責任を持っています。そして、欠かすことのできない道徳的な責務として、彼らはサスティナブルな地球、つまり居住可能な地球を次の世代へ伝える重責を担っています。今の世代の人々は、現在の地球環境が根本的に変わらない限り、将来地球は今よりずっと住みにくい場所になってしまうと知りながら、その重責に直面しています。その中でも大きな問題は、人間による二酸化炭素の過剰排出が原因である地球温暖化です。さまざまな研究機関で、地球温暖化により、ぞっとするような事態が発生すると警告が発せられています。

 高く評価されている科学のインデックス誌は地球温暖化は実際に身近に起こっていると明確に証明しています。その証拠は至るところに見られます。今日の平均気温は昔より1.5度高く、今後も著しく上昇すると予想されています。世界中の国々が温室効果ガスの排出を減らすために大きな行動を取らない限り、21世紀の内に平均気温は6.4度上昇すると考えられています。このような異常気象は、よく見られることなのでしょうか? いいえ、違います。今よりも地球の温度が2、3度高かった時期は、今から300万年も昔のことです。

 さまざまな深刻な問題がある中、地球温暖化は氷原地帯や氷河を溶かしています。科学者は2025年までに、あるいはもっと早くに北極海から氷が消えると考えています。2006年、その予測は2050年に修正され固定されました(2000年の初めには2100年とされていました)。また、グリーンランドや西南極から氷冠が減少すると言われています。さらに、気温が0.5度上昇しただけで海面が8から88センチ上昇する可能性があります。そうなれば、数多くの島国が姿を消すことになります。もし温室効果ガスを削減する手立てを何も打たなければ、上海、東京、アムステルダム、ベネチア、ニューヨークは最終的には水没してしまうでしょう。

 地球上の季節はすでに変化を見せています。ヨーロッパの植物は春に花を咲かせ、秋に落葉しますが、その時期が昔よりも1週間早くなっています。また、2005年には1850年に気温記録を始めて以来の最高気温を記録しました。温室効果ガス(温室効果の主な原因。太陽熱を大気中に留めている)は1970年から2004年の間に70%に増加しました。地球温暖化はさらなる異常気象を引き起こします。食糧や飲料水の供給に対する影響により、何百万もの人が危険にさらされることになります。サンゴ礁のほとんどが死に、海の生物に恐ろしい影響が及ぼされます。地球温暖化により病気が増え、さらに皮肉な事に、湾流が変化することでヨーロッパが非常に寒い地域になってしまう恐れがあります。

 森林破壊や自然の生息地の減少により動植物が驚くべき早さで姿を消しているため、生物多様性が減少しています。魚種資源も大きく減少しています。人間にとっての生命線である飲料水の確保もまた、ますます大きな問題となっています。地球は今、気候変動、土地転換、砂漠化、生物多様性の減少、飲料水供給の減少や水質汚染などといったさまざまな形で「大規模な生態系の破壊」に見舞われています。そう遠くない未来、多くの人は地球上で、あるいは地球上の自分達の地域で生活することを持続させることはできないと気が付くでしょう。世界の人口は著しく増加し、資源の限界を超えようとしています。

 2050年までには地球上には90億人が住むようになります。この大人数に誰が食糧を行き渡らせることができるでしょう? 飲料水をどうやって手に入れるのでしょう? 気温上昇による破壊的な影響によって荒れ地になった土地でどうやって生きて行くのでしょう? 世界経済はすでに、天然資源に対し耐えられない要求を突き付けているのです。

 2007年、カリフォルニア州にあるグローバル・フットプリント・ネットワークは、人間が12カ月で消耗した資源を再生させるには、16か月以上が必要であるというレポートを発表しました。これは「地球の限界を超えた」ことを示しており、生命を維持するために資源を見つけることは、ほとんど不可能に近くなるだろうということを暗示しています。また、地球温暖化やそれに関連する問題が経済に与える影響は巨大です。実際、気候変動が原因の経済的損失は1960年代と比べると6倍になり、2003年には600億ドルに達しました。

 地球が誕生して、46億年というデータがあります。生命が誕生したのが40億年前、この途方もない時間の中ではとてつもない気候変動があり、多くの種が生まれては消えたということも聞いたことがあります。恐竜は誕生してから約2億年の繁栄を誇ったそうですが、絶滅の原因も気候変動という仮説が最も有力です。

 では人類はというと、直接の祖先であるホモサピエンスが誕生したのはわずか10万年前のことです。ということは、10万年で……いえ、産業革命が地球温暖化の発端と考えればほんの数100年で人類は、地球そのものを壊滅的状態にまで変えてしまったということになります。地球の歴史の中では瞬きの時間にもならないほどのわずかの時間です。これほどの危機であることを我々は真剣に捉え、対策をとって行かねばなりません。

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