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○○○○な数字で評価することが、日本の組織をダメにしている――後篇Gartner Column(1/2 ページ)

「IT費用を各部門別に“正確”に振り分けたいのだが、どのようにすれば良いか? 」この問題に頭を悩ませたことはないだろうか。そこで考えてほしい。正確に振り分けたい目的は何か?

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 今回は、まず、読者の皆さまに自社・自組織のIT費用(投資を含む)について思い出してもらいたいと思います。ガートナーではチャージバックと表現していますが、費用を部門や部署別に直課したり配賦したりしていますか。直課できる費用はともかくとして、配賦については、どのようにしているでしょうか。ユーザーIDの数や端末数などは言うに及ばず、HDDの使用量や、はたまたアプリケーション別のCPU使用量、新規のプロジェクトにおいては、経費にヒットするものを算出して関係部署に均等按分したり、意外なほどの工数を割いているのではないでしょうか。

 実は、わたしどもに寄せられる質問で多いものの1つに、このチャージバックについての問い合わせがあります。内容は、表現の違いはあるが、「IT費用を各部門(部署)別に“正確”に振り分けたいのだが、どのようにすれば良いか?」というものです。この質問は、業種・規模に関わらず、皆さまの頭を悩ましている問題であることは間違いなさそうです。そこで、わたしは、こんなことを逆に聞くようにしています。「貴社では、どういう目的で、各部門(部署)別にIT費用を正確に振り分けようとしているのですか? 」と。

 この問いに対する回答は、(1)IT費用を各部門(部署)に認識させて、(費用に見合う)IT貢献度を各部門で考えてもらうため。(2)IT費用を各部門(部署)に認識させて、必要以上のリクエストを抑制するため。(3)経営管理部門(管理会計など)からの指示で仕方なくやっている。という3点がほとんどです。わたしは、更にこんな質問をして皆さまを困らせたりします。「それでは、今まで費用を振り分けて、それぞれの目的に照らし合わせてみると、どの程度効果的だったでしょうか?」と。

 むろん皆さまを困らせて楽しんでいる訳ではありません。チャージバックを導入したり、その方式を検討したりする際に、そもそも目的は何で、どんな効果を想定しているのかを知っておく必要があるので聞いています。何故なら、この問題に「正解」は無いからです。そして、正確に振り分ける手法もありません。しかし、目的と目標によっては、全く手出しができない問題でもありません。

 とある企業のCIOから相談がありました。「自部門の経費表のシステム費項目を見た部門長が、血相を変えて情報システム部に駆け込んできました。彼は、『当部門のシステム費は高すぎる。全社の情報システム費用をここに持ってきて、こちらに見せなさい。費用の振り分け方が間違っているか、さもなければ無駄遣いし放題になっているに違いない!』と怒鳴るのです。ある一定のルールで費用は部門別に振り分けているつもりなのですが、こんな風にユーザー部門に言われないように、さらに“正しい”振り分けルールを知りたいのです。」とのことです。なるほど、正しいルールに従えば責められることはない……ということですか。ちょっと、感心したり呆れたりしました。

 意外なことに、目的は前述したように答えても、その効果については、期待とは正反対の結果が出ているが、そこは関知していないというのが実態のようです。一方で、こんな話も聞かされます。「情報システム費用を各部門に振り分けたからと言っても、ビジネス部門は、これらの費用に一切関心がありません。これらの割り振られる費用は、システム費に限らず“税金”のように考えているのでしょう。自慢にもなりませんがわたしたちも、税金が何に使われ、どんな効果があったなど考えもしませんから、似たようなものでしょう。」と。

 血相を変えて怒鳴り込まれることがあると思えば、全く無関心な場合など、なかなか簡単にはいかない問題のようですし、少なくとも、そもそもの目的に照らしてみると、期待通りではないようです。

 では、みなさんが言うように“正確”に費用を振り分けることができれば、問題は解決するのでしょうか。怒鳴り込んだり、無関心になったりする人には“正確”に振り分けたからといって、ITの貢献度を感じてはもらえないのではないでしょうか。だとすると、「正確に」にこだわる理由は何なのでしょう。課題の本質はこの理由にあるように思えます。

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