デジタル時代はいかにしてわれわれのマインドを変えているか:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(1/3 ページ)
20世紀における人間の大発明の1つがコンピューターである。それは一家に一台といわれていたテレビをはるかにしのぐ勢いで、社会構造そのものになくてはならないほど浸透している。その及ぼす影響とは。
この記事は、洋書配信サービス「エグゼクティブブックサマリー」から記事提供を受け、抜粋を掲載したものです。サービスを運営するストラテジィエレメントのコンサルタント、鬼塚俊宏氏が中心となり、独自の視点で解説します。
3分で分かる「フューチャーマインド」の要点
- パソコンが社会全体に広まっている状態は、巨大な歴史的変化を象徴している
- パソコンと「サイバーカルチャー」に囲まれた生活は、人々の考え方を変える
- テクノロジーは人の集中の仕方を変え、深い思考や集中を妨げている
- 教育システムにテクノロジーが取り入れられているが、研究者はそれによって得られる学習上のメリットはほとんどないと主張している
- 現代のおもちゃや教育は想像力や「自由な遊び」を抑制している。子どもはより独創性を持たなくなり、より自意識が強くなっている
- 情報技術の進歩により法の施行が変わり、人間を超える人工知能が生み出される可能性がある
- 新しいアイディアを生み出すには「準備、ふ化、啓示」のプロセスが必要である
- 独創的な思考には、「強い意志、好奇心、自信」が必要不可欠である
- より明確に考えるには、時間とスペースを管理すること。サイバー世界に生活の隅々まで侵略されてはいけない
この要約書から学べること
- コンピューター文化はどのように人の脳や人間社会を変えているか
- なぜそのような変化が重要なのか
- それについてできることとするべきこと
本書の推薦コメント
シナリオ立案コンサルタントである著者のリチャード・ワトソンは2つのせめぎ合う思いを持っています。まず、ワトソンはデジタル技術が人間の脳や社会に与える悪影響について警告を発しており、そのような悪影響が招く恐れのある結果に対し、人は十分に注意を払っていないと懸念しています。
その一方で、同じ技術がもたらす未来の可能性に心を躍らせています。心で思うことで機械を動かしたり、あるいは薬を飲むことで精神機能を高めたりできる未来は、サイエンス・フィクションのユートピアでの話のようです。
しかし、どのようなユートピアでも人の心を陥れるディストピアに変わってしまう可能性を持っています。これこそが、ワトソンが本当に心配していることであり、読者に伝えたい知識なのです。未来派やサイバーカルチャー、デジタル技術あるいは人間社会の倫理に興味のある方に本書をお勧めします。
20世紀における人間の大発明の1つがコンピューターでしょう。わずか数十年前に開発された未来の機械であったコンピューターが21世紀の幕開けと同時に、急激にわたしたちに大きな社会変化をもたらしました。それはまるで、一家に一台といわれていたテレビをはるかにしのぐ勢いでごく当たり前のようにわたしたちの生活、いや、社会構造そのものに無くてはならないほどにまで浸透しています。
コンピューター、それはかつては電子計算機といったイメージのものであり、人間が手作業ではできない複雑な計算をするものでした。しかし、時代を経て、コンピューターは漢字で書けば「電脳」と呼ばれるように、人間の「脳」と同じ働きをする機械の箱としての認知をされるようになりました。そして、その箱は、計算ばかりではなく、文章を書き、絵を描き、そして他人と会話するためのツールとなり、さらには、世界中のあらゆる情報を集約した基地となっています。
人類史の中で最も急速に人間の世界に浸透したコンピューターという人工の「脳」はこれから先、どこに向かって進み、わたしたちの生活にどのような影響を与えていくのでしょうか?
この書のタイトル「フューチャーマインド」とは、コンピュータとわれわれの将来に渡る関係や、今後どのように付き合っていくのがベストな選択であるのかについて、言及しています。急激に発展しつつあるものがゆえに、それに拒否反応を多く持っている人も少なくないはず。しかし、それを受け入れ、上手に付き合っていかねばならないのは誰もが知るところです。
そういう意味では、コンピューターにアレルギーを持っている人にこそ、読んでもらい、今後のコンピューターとの付き合いを真剣に考えてもらう事が大切なのではないかと思います。
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