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福岡からアジアへ! 効果的な情報活用で事業拡大に挑むトライアルカンパニーITmedia エグゼクティブセミナーリポート(1/2 ページ)

全国で130以上の店舗を展開するトライアルカンパニーは、“ビッグデータ”時代を見据えて、情報システムの刷新に踏み切った。それに至った背景とは?

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スパイラルモデルで多様なシステムを構築

 「より良いものをより安く、より豊富に、より便利に、より快適に」をキャチフレーズに、暮らしの豊かさを消費者に届けることを目指して事業を展開する総合販売店チェーン・トライアルカンパニー。1974年に福岡市で創業して以来、徹底したローコストオペレーションによる商品の安さと、24時間営業を通じた高い利便性などを武器に、急速な成長を遂げてきた。その店舗数は今や130を超え、扱い商品も生鮮食品から加工食品、衣料品、家電品まで極めて多岐に渡る。

トライアルカンパニーの西川晋二CIO
トライアルカンパニーの西川晋二CIO

 同社は、900〜1500坪の「スーパーセンター」や、都市部への出店にも対応した250〜450坪の「マート」、最も大型店の「メガセンター」など、店舗規模に応じて異なるプラットフォームで多店舗展開。それらの最適化を進めることで、店舗の魅力向上にも継続的に取り組んできた。この取り組みを支える存在が、約20年にわたり内製で構築してきたシステム群である。

 アイティメディアが8月4日に開催した「第17回ITmediaエグゼクティブフォーラム」で講演したトライアルカンパニーの情報システム部で取締役CIO(最高情報責任者)を務める西川晋二氏は、「“Retail Engineering Revolution”の掛け声の下、構築したシステムをほかのサブシステムの機能に順次加えてシステムを循環的に成長させる、いわゆるスパイラルモデルでシステムを拡張させてきた。過去にはシステムの外販やサポートも手掛けていたほどだ」と同社とシステムの関係を説明する。

 これまでに構築したシステムは極めて多い。流通オペレーションの基幹を担う発注・仕入れ・販売や商品管理・棚卸管理などのシステムに加え、店舗運営を支援する売り場支援系システム、多様な切り口から情報を加工・抽出するBIシステム、グループウェア、ダッシュボード、物流管理のための入庫・在庫・出荷オペレーションや物流商品管理・在庫管理システムなど、ほぼすべての業務を網羅するほどだ。

ITスタッフの獲得のため中国に着目

 だが、同社のIT戦略も7年前には見直しを余儀なくされた。ITスタッフの獲得競争の激化に伴い、優秀な人材の採用が困難になったためである。これに対して同社は中国に活路を求めることを決断。「中国では国策としてITスタッフの育成に取り組んでおり、優秀な人材が豊富に存在していた」(西川氏)からだ。この狙いは的中し、同社の中国法人である煙台創迹軟件に勤務する中国人ITスタッフは今や500人に達するという。

 ただし、煙台創迹軟件を軌道に乗せるまでには苦労も少なくなかったという。北京や大連などの大都市では現地で知名度の高い企業にITスタッフが流れ、また、せっかく採用した人材が他社に引き抜かれることも少なくなかったのだ。そこで同社は中国の地方部に着目し、そこでの採用活動に注力することを決意。

「中国でもとりわけ地方部はITスタッフの雇用の受け皿が乏しく、いわゆる買い手市場になっている。そこで当社では大学と連携した産学協同プログラムなどによって、人材の早期育成に取り組み、大学との良好な関係を築くことに力を入れてきた。その結果、応募者を3%まで厳選することで、極めて質の高い人材の採用に成功している」(西川氏)

 採用後の新人教育も、技術教育と日本語教育の両面で実施。日本での長期間の教育も、中国側とのたび重なる交渉で既に実現しているという。

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