「良いチーム」は機能しない:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(2/4 ページ)
チームの能力を最大限発揮させるために「良いチーム」を作ろうとしていないだろうか。それは間違いである。ではビジネスを成功に導く理想的なチームのありかたと、能力を発揮させる秘訣とは。
「良い」チームはパフォーマンスより平穏を大切にする
現代社会では、良い人になり、周りとうまくやって行くことが大切だと考えられています。職場や、チームの一員になった時は、特にそうです。
しかし実際の所、常に良い人でいることは、チームの成長を妨げてしまう恐れがあります。チームは一般的に、「良いチーム」、「どう猛なチーム」そして「勇敢なチーム」のうちのどれかであり、「形成期」、「混乱期」、「統一期」そして「実現期」の4つの発展段階を進みます。
良いチームでいることにこだわり過ぎれば、チームは形成期で行き詰まり、混乱期に進むことができなくなる危険性があります。また、チームを統一期へ押し進め、そこからさらに実現期へ後押しする反対意見を述べたくないとメンバーは思うようになる場合もあります。これでは人間関係は脅かされ、メンバーは目的を見失ってしまいます。
さらに、良いチームを維持するため、管理者やチームリーダーは多くの場合対立を避けたり、あるいは好意的に見られようとしたりします。しかし、残念なことに、そのような行為は、管理者達が平穏を守るためにプランニングや業績向上、説明責任、そして問題解決を犠牲にしていることになるのです。
管理者は多くの場合、「人は職場では良い人でいるべきである」という通念の影響を受けて良いチームを指揮しています。しかし、実際のところ、これはチームワークの妨げとなる誤ったアプローチです。チームが伸ばさなければならない個所を指摘する代わりに意味も無く褒めることは、効果の無いことです。チーム管理者は、何の疑いも持たずに顧客の指示や上司の命令に従うのではなく、チームの知識に意識を向けるべきです。
さらに、争いを無視し問題を隠すのではなく、柔軟性を持ち、仲間と問題について話し合うべきです。
良い人でいることを過剰に重要視するチームメンバーは、勢いを失くし、チームの平穏を保つことに過剰にエネルギーを使う場合があります。どのような種類のチームでも、メンバーは一般的に次のような役割を担います。ただし、個人の振舞いには差があり、それはチームのタイプによって異なります。標準的な役割は次の通りです。
チームの標準的な役割を知る!
・ピースメーカー:メンバー全員に仲良くやって欲しいと思っており、仲裁役を担う
・チャンピオン:強く、積極的に発言をするリーダー
・完ぺき主義者:仕事を完ぺきにこなしたいと思っている
・エナジャイザー:独創的で、仕事は興味深く楽しい方が良いと思っている
・保護者:誠実で、周りの人の面倒を見る
・オブザーバー:何が起こっているのか理解しようと努め、客観的にものを考える
・個人主義者:自己表現したいと強く思っている
・アチーバー:積極的に行動し、柔軟性がある
・ヘルパー:仲間に好かれ、仲間を一生懸命助けようとする
基本的に、良いチームにいる場合、対立を避け調和を保つために、役割はそれぞれ標準のものより劣ったものになります。
良いチームでの役割のケースとは?
・ピースメーカー:争いを避けるためなら見せかけの調和でも良いと思う
・チャンピオン:立場を失わないようにするため、物事をありのまま受け入れる
・完ぺき主義者:「それなりに良い」結果に甘んじる
・エナジャイザー:対立を避けるために現状に甘んじる
・保護者:「崩れやすい安心感」を維持しようと必死になる
・オブザーバー:重圧を感じたくないため、問題から逃げようとする
・個人主義者:自分の意見を押し殺し、一対一で他人を助けようとする
・アチーバー:成功に重点を置き、人間関係の問題を無視する
・ヘルパー:本音で深い人間関係を築くことができない
チームとは目標達成のための組織として、そこに集まったメンバーの素養によって大きくその形態が変わっていきます。 ここで言う「形成期」、「混乱期」、「統一期」そして「実現期」の4つの発展段階を経てチーム作りが行なわれていくとありますが、一言で言えば、「良いチーム」とは「親しい間柄の仲間」のような集まりとなってしまいます。そこに属していることに満足してしまい、その先に進むことはできないでしょう。そうではなくここで書かれている役割に適したメンバーがそれを忠実にこなしながら業務遂行できるチームこそが望まれるといえるのではないでしょうか
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