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若手社員よ意見の対立を乗り越えよう。その前に、上司は価値観の違いに理解を。【最終回】伸びる会社のコミュニケーション(1/2 ページ)

意見の対立を避けようとする若手社員が増えているが、若者ばかりを責められない。主張する気持ちを喪失させるコミュニケーションも多いからだ。

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 「最近の若者は打たれ弱い」「意見の対立から解決策を導き出していくことができない」といった声をよく耳にします。1社や2社ではなく、たくさんの会社で同じような話を聞くため、これは企業共通の傾向なのでしょう。実際に、企業で働く大勢の思考、行動特性を私たちが分析した結果からも、若手社員の「困難に立ち向かう力」は共通して低いという傾向が見られています。

 困難に立ち向かう力が足りないと、意見の対立のような面倒なことは避けて通る選択を行いがちになります。現代の若者の間では、仲間内でいたずらに波風を立てることなく、良好な関係を無難に維持しようとするコミュニケーションが好まれる傾向にあるようです。わざわざ困難なことに対峙しなくても、何とかなってきたという時代特性も影響しているでしょう。

 若手社員のこの傾向は今に始まったことなのでしょうか?過去のデータがないため、答えは分かりません。けれども、対立を避けるという若手社員の傾向を、若手だけの問題にすることはできないと思います。コミュニケーションは個人に閉じた問題ではないからです。

若手社員だけの問題ではない

 新たなアイデアは異なる価値観の出会いから生まれることを、この連載の中で何度も述べてきました。同時に、それぞれの人が異なる価値観を表明することは、価値観の対立を顕在化させてしまうことも述べました。上述の「意見の対立」は、主としてこのような価値観の対立を指しています。

 論理的な見解の相違は、たとえ意見が対立したとしても、それほど大きなストレスを引き起こしません。その対立を解消することもまた、論理的に行われるからです。けれども、価値観に基づく見解の相違は、そう簡単にはいきません。価値観に優劣はないため、理屈で解決することはできないからです。

 職場で上司と部下の間に、このような価値観に基づく意見の対立が生じたとき、若手の部下には対立を乗り越えて、解決策を見出していくタフさがほしいところです。けれども、このようなケースで問題を起こしているのは若手社員の方ばかりではありません。例えば、次のような会話を見てみましょう。

上司:「職場で何か気になることはないか?」

部下:「もっと皆で課の方針について話す機会があった方がよいと思います」

上司:「方針は既に決まっている。今は行動して成果をあげる時期だ」

部下:「……」


 この部下は、課の方針が十分に共有されていないことによって、何らかの問題が生じていると感じていたのでしょう。ところが、部下の意見は頭ごなしに退けられ、逆に上司の見解を教授されてしまっています。

 おそらく、この上司は部下に意見を求めておきながらも、もともと自分と異なる意見を聞く意志はなかったのでしょう。部下が自分の意見を理解すればよいのであって、自分は部下の見解など知る必要はない、と思っていたように見えます。

 このような状況で、部下が自分の意見を強く主張したらどうなったでしょうか? 上司も自分のスタンスを変えず、対立がより激しくなることが想像されます。それでも上司に対して、立ち向かうべきだという意見があるかもしれませんが、そもそもこの職場のコミュニケーションが変わらない限り、部下は早晩、主張する気持ちをなくしてしまうでしょう。

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