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ビジネス交渉は落とし所探しではないビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

相手だけでなく、相手の利害関係者との関係などできるだけ広い範囲の事象を調べ交渉の場において可能性を探ることが必要だ。落とし所ばかり考えていては他の可能性を見落としてしまう。

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 「落とし所を探って来い!」

 この言葉を言ったこと、あるいは言われたことがあるのではないだろうか。しかし、この言葉は、交渉学のフレームワークでは推奨されない言葉である。


「売り言葉は買うな!ビジネス交渉の必勝法」

 交渉には相手があり、相手も自分と取引したいと思う条件がなければ、自分の目標は達成できない。だからといって、相手の表面的な要求に従って、自分の許容できる範囲まで、ひとつの条件を下げて合意すれば良いということではないのだ。

 ひとつの条件が成立したことに満足してしまい、他の可能性を見落としてしまうことがあるし、何より、今回の取引は成立しても、同様の条件では継続的な取引は難しいかもしれない。これこそ、落とし所のみにフォーカスした弊害なのだ。

 例えば、売買契約といえば価格のみに焦点をあてがちだが、それだけではない。ビジネス交渉では価格のみで判断されて売買されることは少なく、メーカーではQDCS(Quality:品質、Delivery:納期・入手性、Cost:価格、Service:サービス・サポート体制)が総合的に評価される。価格以外の要素にも目を配れば、単純な売買を超えた提携可能性があったにもかかわらず、見逃してしまうといったことが起きる。

 もっと広い視野で、関連するさまざまな条件について熟考する余裕を持てれば、まったく違う合意ができたかもしれない。そのためには相手だけでなく、相手の利害関係者との関係など、できるだけ広い範囲の事象を調べ交渉の場においてもあらゆる可能性について協議をすることで、当初は目の届かなかったところにも相手に気づきを与えるような工夫が必要だ。

 落とし所を探るというと、何か下向きで暗い印象を与えるが、視野を広げてあらゆる可能性を探るというと、上向きな明るい印象にならないだろうか。実際、こういった考え方をすることで、当初は双方が考えていなかった新たな合意点を見出すことができたり、視野を広げることで初めてクリエイティブ・オプション(創造的な選択肢)の提示をし、合意に至ることができるのである。

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