連載「知って、できて、当たり前!? 37歳の常識」について
37歳は35+2歳なのか、40−3歳なのか?――連載「知って、できて、当たり前!? 37歳の常識」は、40代以降を充実して生きるための100個のルールをまとめた書籍「あたりまえだけどなかなかできない 37歳からのルール」の一部を加筆・修正し、許可を得て掲載しています。
転職活動を始めるときにやたらと知り合いに声をかける人がいるが、僕はこの方法は正しくないと思う。
もちろん絶対働いてみたい職場ならいいが、その会社のことをさほど理解もせずに声を掛けるのは、相手にとって失礼な話であり、自分への信頼を下げるだけにすぎない。もし知り合いが本当にあなたを欲しいと思うなら、あなたが退職すると知った時点ですぐに声を掛けてくれるものだ。
人を頼って転職したら、紹介者にも責任も生じてくる。責任を取るというよりも、道義的に「紹介したのだから」という責任がついて回るということだ。採用した側にも同じように考える人が多く、何年たっても気にする人がいることを知っておかねばならない。それを鑑(かんが)みると、転職活動は自分の力でやるべきことだと思う。
転職は全てが自己責任であることを認識するべきだ。人に誘われたからとか、転職後に「話が違う」などと言っても仕方のないことだ。僕も人から誘われて転職をしたことがあるが、それも自己責任だ。後で後悔しても遅い。自分で調べ、自分で納得するまで探し、話をして、それでも転職したいのならすればいい。転職後に文句を言っている人を見かけることがあるが、そういう人はどこに行っても文句を言うのだろう。
30代後半で転職をするということは、1人だけの影響ではないことが多い。結婚し、子供がいる人はなおさらのことだ。家族に対する責任をもって、それでも転職するべきだということを、感情だけではなく説明できるだろうか。
僕は、家族がいるから転職してはいけない、とは考えていない。しかし、独り者のころよりも、責任が大きいことに違いはない。思いつきで転職できる年代ではないということだ。
採用する側も、独り者と妻帯者では見方を変えることが多い。妻帯者を採用することに対する責任もあるし、それだけの覚悟を持っている人間であるか、ということも見る。
転職前に、今の会社を辞めてしまうこともお薦めしない。僕なら静かに就職活動を行い、転職先を決めてから辞表を出すだろう。頼る人はいないし自己責任であるのだから、ずるいと思われようが計画的に進めるべきだと思う。30代後半の転職とは、それだけ重いものだ、ということを理解しておくことだ。
大木豊成著
明日香出版社
1470円(税込み)
40歳を目前にした世代が、悩んだり困ったりしていることに対して、人生経験豊富な著者がアドバイスする。ソフトバンクグループで培った仕事術の他、家族、キャリアなどについて、100項目で指南する。
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