プロセス統合やルールエンジンがショッピング、医療を変える:IBM Impact 2012 Report(2/2 ページ)
ラスベガスの「IBM Impact 2012」は2日目を迎え、MasterCardやThe Ottawa Hospitalなど、プロセス統合やルールエンジンによってビジネスを変革し、一歩先を行く企業がその取り組みを紹介した。
プロセス統合とiPadが医療を変える
カナダの首都にあるThe Ottawa Hospitalは、IBMのこうした技術とモバイルデバイスを活用し、医療ビジネスの変革に取り組んでいる1社だ。
ステージに招き上げられた同病院のデール・ポッターCIOは、「ヘルスケアは患者を治療するのが目的だが、同時にビジネスでもある。患者の急増に伴い病院は多くの医師や看護師を雇用しており、コストもかかっている。ケアプロセスを見直して標準化を図り、さらに洗練させなければならない」と話す。
同病院では医療の現場にiPadを導入、医師同士の情報共有を円滑に行えるようにしている。患者の容態によっては医師が急ぎ対応しなければならないこともあるが、iPadによって呼び出しがあり、その場で患者の容態を詳細に把握できれば、「今すぐ行けないが15分後なら」と返し、併せて準備を整えておくよう指示も出せる。
また、病院ではひとりの患者のケアに対して医師や看護師だけでなく、医療ソーシャルワーカーやセラピスト、薬剤師なども関わる。The Ottawa Hospitalでは、ケアのためのサークルをオンライン上につくり、互いに協力し合えるように見える化しており、例えば、退院時に「自力で歩行できるかどうか」など、家庭での自立した生活に必要な事柄をソーシャルワーカーが担当医から確認することもできるという。
ルールエンジンがダイエットのアドバイス
ペンシルバニア州ピッツバーグに本社を置くBodyMediaも、IBMのルールエンジンによって医療を変えようとしている。同社は、体に身に着けるセンサーによって減量や健康維持を支援するベンチャー企業だ。Impactのジェネラルセッションに登場したクリスティン・ロビンCEOは、「センサーから送られるデータを個々の減量プログラムに応用することでダイエットの効果は3倍にも高まる」と話す。
腕時計サイズのアームバンド型機器には4種類のセンターが組み込まれており、毎分5000ものデータを収集、歩数や消費カロリー、睡眠の状況なども把握できるという。来年にはコインサイズの機器も投入する予定だが、BodyMediaの最大の強みは、リアルタイムのフィードバックサービスにある。食事や運動のデータを基にIBMのOperational Decision Managementが個々へのフィードバックを生成、1日が終わる前に「きょうの目標を達成するには、あと20分散歩しましょう」といったアドバイスが送られるという。
「われわれは小さな会社だが、IBMのルールエンジンを活用することによって、みなさんの生活を変えられる。将来は、冷蔵庫を開けてチーズを食べようとしたら、カロリーを取り過ぎだと警告されるようになるかもしれない」とロビンCEOは話す。
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