37歳の常識――給与明細の全項目を理解する:知って、できて、当たり前!?
健康保険、厚生年金、雇用保険――自分の給与から、何がいくらぐらい控除されているか、あなたは意識しているだろうか。
連載「知って、できて、当たり前!? 37歳の常識」について
37歳は35+2歳なのか、40−3歳なのか?――連載「知って、できて、当たり前!? 37歳の常識」は、40代以降を充実して生きるための100個のルールをまとめた書籍「あたりまえだけどなかなかできない 37歳からのルール」の一部を加筆・修正し、許可を得て掲載しています。
「給与明細書の中身など、見なくても分かっている」という人がいるが、本当だろうか。本当に、隅から隅まで理解しているだろうか。新入社員に説明できるだろうか。
僕の経験では、給与明細書の中身をきちんと理解している人は極めて少ない。そもそも新入社員の研修で、給与明細書の読み方を教えている企業もほとんどないのではないだろうか。
僕はソフトバンクグループ企業の新入社員研修を受け持っていたころ、最初の給与支給日の翌日に給与明細書の読み方を説明した。会社の数字に興味を持つには、まず自分に入ってくるお金を理解する方が早いと考えたからだ。
給与明細書が「支給」と「控除」で形成されていることくらいは分かるだろう。支給には、役職手当のように職位・成果に伴うもの、残業手当のように時間で算出されるもの、そして、住宅手当、家族手当など、個人の評価と連動していないものなどがある。これらがどのように決められているか、知っている人は少ないだろう。
企業には必ず就業規則が存在し、その中、あるいはそれとは別に賃金規定が存在し、その中で給与の仕組みが定義されている。残業手当は労働基準法で1・25倍、休日出勤は1・35倍と決まっている。30代後半ともなると、一般社員扱いで残業手当を支給されている人よりも、役職手当を貰っている人の方が多いかもしれない。
もっと認識されていないのは「控除」だ。控除には、健康保険、厚生年金、雇用保険の他に、40歳から控除され始める介護保険がある。それぞれ、ただ「差し引かれるお金」と考えずに、どれが何になるのかを見ておくことが大切であり、後輩に説明できるくらいになっておくべきだと思う。
経営の数字は貸借対照表、損益計算書といったものから成り立っており、多くの企業の経営に最も影響があるのが損益計算書の中にある人件費だ。そして人件費とは、個人の所得の集合体に相当するものだ。
それすらも理解していない人が「独立したい」などと言っているのを聞くと、僕はやめるように説得することにしている。お金に固執するのはどうかと思うが、お金に興味がないようでは、経営など到底無理だからだ。
大木豊成著
明日香出版社
1470円(税込み)
40歳を目前にした世代が、悩んだり困ったりしていることに対して、人生経験豊富な著者がアドバイスする。ソフトバンクグループで培った仕事術の他、家族、キャリアなどについて、100項目で指南する。
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