シンプルにロジカルに、ストーリーを語る:グローバル時代のスマートリーダー術――100人の経営層から(1/2 ページ)
何を考え期待しているのか、目指すべきゴールはどこか。これらを、常に明確に示すことがリーダーとしての必須要件だ。
前回は「返事は24時間以内に、信頼関係は時間をかけて」について話しました。今回は、コミュニケーションに求められるシンプル、ロジカルについて話します。
世の中が目まぐるしく変化するとともに、あらゆるものが複雑化し、説明しにくいものも増えています。しかし、だからこそ物事をシンプルに分かりやすくすることが求められています。
ライフネット生命代表取締役出口治朗社長は、「分かりにくいものを売るのは詐欺です。われわれは生命保険を原点に戻す、ということを会社のモットーにしていますし、分かりやすい生命保険を売りたいと思っています。分かりにくいもの、分からないもの、義理人情で売るのは詐欺だと、思います」と言っています。
シンプルにロジカルに
グローバル時代に、どうすれば分かりやすくなるでしょうか。シンプル&ロジカルであることが基本です。某大手米系証券会社の幹部を務めた方が次のように言っています。
わたしは今も当時も英語はペラペラではなく、ずっと苦労しています。でも、なぜか英語がうまくないことで不利な状況になったことはありません。英語は手段でしかなく、大事なのはいかにロジカルに考えてアウトプットするかということです。日本人は情に訴えようとする傾向があります。しかし英語では、「なんとかお願いします」という言葉はありません。日本は単一民族のため、情に訴えたり、あうんの呼吸に頼ることがありますが、外国ではそれは通用しません。ロジカルに説明するときには難しい英語力はいりません。単純な文法で話したほうが、逆にロジカルになります。わたしがこれまで接した人たちからは、「英語は下手だけれど、言いたいことがよく分かる」とたびたび言われました。中学生レベルの力があればロジカルに説明することは可能です。
先日、英語ができる部下が長いメールで外国人とやりあい、どうにもならない事態に陥っていました。それをわたしが中学レベルの英語で5行くらい書いて送ったら、それで終わりになりました。その人から言わせると、「最初からこう言えばいいじゃないか」ということらしいです。シンプル&ロジカルが本当に大事です。
これは英語のコミュニケーションに関する話で、英語のコミュニケーションでは、シンプル&ロジカルであることがとても大切です。しかし、英語のみならず、どんな言語でコミュニケーションを取る場合もシンプルでロジカルに話す方が、考えや意図が伝わりやすくなります。特に多くの人が関わったり、さまざまなバックグラウンドを持った人たちに話をしなければいけない場合は、なおさらです。
「わたしはこう思う。なぜなら、(1)……、(2)……、(3)……」
「〇〇をやっていこう。優先順位は(1)……、(2)……、(3)……」
このように順序立ててできるだけロジカルにシンプルに話す、書くことを心がけることが大切です。わたし自身も日本人や外国人スタッフに指示を出す際、この論理を使って、できるだけ分かりやすくシンプルに伝えるように努めています。
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