人事考課ハンドブック:海外ベストセラーに学ぶ、もう1つのビジネス視点(2/3 ページ)
洋の東西を問わず人事考課はやっかいなようだ。しかし企業が成長し続けるためには欠かせない。では、理想的な人事考課とは。
効果的な人事考課
人事考課が効果的に行われると、従業員のモチベーションは上がります。モチベーションが上がれば、仕事で優秀な成績を出すことができます。また、うまく行った仕事を認識してもらえると、大きなモチベーションが生まれます。その他にも、現実的に目標を後押しされたり、快適な仕事環境を整えてもらえたり、適切に意思疎通ができたりすると、大きなやる気がわいてきます。人事考課は明るい雰囲気で始めてください。
話し合いを促すには、「仕事の状況についてどう思いますか?」や「この1年の中で、違うやり方でやっていれば良かったと思うことはありますか?」など、自由回答形式の質問をすることから始めましょう。従業員の達成したことを分類し、従業員の言葉を注意深く聞いてください。問題に対処する際は、具体的にしてください。「あなたはよく遅刻をしますね」など、大雑把な表現は止めましょう。また、翌年の目標について話し合う時は、具体的に話し、測定可能な目標を設定してください。次のような3種類の人事考課システムがよく使われています。
3種類の人事考課システムを知る
1、評定尺度法:これは、従業員が期待以上の仕事をしたか、あるいは、仕事で求められていることを達成することができなかったかを示すものです。
2、チェックリスト評価:「はい・いいえ」で答える形式の質問を使って、従業員の振舞いを明らかにするものです。
3、強制選択式評価:具体的な選択肢の中で、部下に最も当てはまるものを上司が選ぶものです。
人事考課は、上司と部下が企業の「核となる目的」を理解した時に成功します。企業の核となる目的は、業務のあらゆる側面に浸透していなければなりません。部下がどれだけ企業の基本的な任務を遂行しているかが評価の根拠になります。「目標管理(MBO)」手法は、従業員の行動と企業の目標を結び付ける手法です。
MBOを使うには、部下に目標を設定させてください。そして、部下と一緒に、その目標を企業の目的と照らし合わせて検討してください。もし必要であれば、微調整してください。定期的に話し合いの場を設け、部下が同意した目標を達成しているか確認してください。
効果的な人事考課とは従業員のモチベーションを上げる事ができるものをいいます。そのために大切なのがコミュニケーションです。極力マイナス要素の話は避けるべきです。会社と従業員のゴールを同じ所に持っていくような努力が大切です。
給与は報酬の1つに過ぎない
給与は、人事考課の一部分に過ぎません。「総合報酬パッケージ」には、給与などの「直接的金銭報酬」と、福利厚生などの特典を与える「間接的金銭報酬」、そして重要な業務を任せるなど「心理的充足感」が含まれます。在職期間や生活費に基づいて増加する「年功型賃金」、あるいは、従業員の成果を評価する「成果主義賃金」のいずれかが支払われます。
従業員があらかじめ、企業の人事考課に基づく給与システムを理解していることを確認してください。従業員は、在職期間と成果のどちらに基づいて給与が支払われるのか知っているべきです。それと同時に、自分の業務明細書がどのように考慮されているのか、そして、自分の給与が自分のスキル、昇格、あるいは、勉強の進み具合と比例しているか知っているべきです。従業員が受け取る報酬の価値を理解できるようにしてあげましょう。面談では具体的に話してください。「できる限りの給与を支払いましょう」などと言ってはいけません。成果主義賃金システムを採用している企業の給与には、次のうち1項目、あるいはそれ以上が含まれています。
成果主義賃金システム採用で必要な事項とは?
・基本給:結果や生産性によって変わることのない給与
・技能給:職務要件に基づいて決められる給与
・変動給:特定のプロジェクトを成功させた場合に支払われるボーナス
・出来高払い賃金:実際に生産した総数によって支払われる給与
・成果分配:企業全体の成果に貢献した人に支払われる給与
・ブロードバンド型賃金:例えば、仕事と私生活のバランスを取るために仕事を減らしたい人など、企業の出世階段から横にそれたい人を評価するための給与
仕事をすることの目的の1つが「報酬」です。但し、報酬=給料と考えるのであれば、従業員は、給与そのもののシステムを明確に指導し、何時、どうした報酬が支払われるかを明確にすることが大切です。
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