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「口グセ」が作る新しい思考習慣人生はサーフィンのように(3/3 ページ)

ネガティブな言葉ばかり口にしていれば思考がネガティブになるし、ポジティブな言葉を選んでいけば次第にポジティブになっていく。ポジティブシンキングではよくそう言われますが、本当にそうなのでしょうか?

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 混雑した電車の中で足を踏まれたシーンをイメージしてみましょう。普通なら「くっそ〜、足を踏みやがって、痛ぇ〜じゃないか!」となりますが、最後に「ありがたいな〜」を付けると、「くっそ〜、足を踏みやがって、痛ぇ〜じゃないか! ありがてぇな〜(怒り心頭なので“ありがたいな〜”なんてきれいな言葉を使っている場合ではありません)」となります。

 そうすると、「怒り」と「ありがたいな〜」の間には感情と言葉のギャップがあるので、「怒り」の部分にある言葉を「ありがたいな〜」に合うように、前の言葉を修正するような動きが起きるのです。例えば「くっそ〜、足を踏みやがったおかげで眠気がさめたじゃないか! ありがてぇな〜」というように。そうすると、ちょっと気持ちが軽くなる感じがするのです。

 これを1週間ぐらい続けてみたら、「な〜んだ、嫌なことは嫌だと思っていいんだ」「おっ、少し前向きに考えられるようになってきたぞ」と感じるようになります。不思議なことに。

 宮北さんによると「ありがたいな〜」以外でも、肯定的な言葉なら「うれしいな〜」でも「たのしいな〜」でも、なんでもいいそうです。

物事の枠組みをはずす

 心理学用語に「リフレーミング(Reframing)」という思考技術があります。これは「Re-Frame」からきている言葉で、「枠組みをはずす」「物事を他の角度から眺めてみる」という意味があります。

 雨の日に「嫌な天気だなぁ」と思う人もいれば、「雨が降ってありがたいなあ」と思う人もいるように、雨そのものには意味がなく、それに「いい」「悪い」と意味を付けているのは私たちです。

 けれども、理屈は頭の中では理解できていても、いざ雨が降ったら「嫌な天気だなあ」と思うものです。そこを無理に「ポジティブな視点で考えてみよう」と思っても、なかなかできないものです。

 この「ありがたいな〜」は、「語尾に『ありがたいな〜』を付けるためには、前の文脈をどう変えればいいのだろう?」と、比較的容易にポジティブな意味を付け、物事の枠組みをはずすことに役立ちます。「あ〜、嫌な天気だなぁ。でも、今年の夏は雨が降らなくて本当に暑かった。そう思うと雨もありがたいな〜」というように。

 これが口グセになると、思考や感情を変える強力な味方になってくれます。

 そういえば、思い出しました。お笑い芸人のスギちゃんは何かと語尾に「ワイルドだろ〜」という言葉を付けますが、「ありがたいな〜」と似たような効果がありますね。

 先ほどの「くっそ〜、足を踏みやがって、痛ぇ〜じゃないか!」に「ワイルドだろ〜」とつけると「くっそ〜、足を踏みやがって、痛ぇ〜じゃないか! ワイルドだろ〜」になりますが、これだとなんとなく文脈が合いません。

 そこで、「くっそ〜、足を踏みやがって、痛ぇ〜じゃないか! 本当なら怒鳴ってやりたいところを、グッとこらえてやったぜ〜、ワイルドだろ〜」にすると、なんだか本当にワイルドになれた感じに変わってきます。こんなイメージです。


 感情は勝手に沸き起こってしまうものです。しかし感情のマネジメントができれば、感情に流されてずっと嫌な思いをしているしかないことは少なくなります。「ありがたいな〜」という口グセは、思った以上に効果があります。あなたもやってみてください。


 皆さんにご愛読いただきました人生はサーフィンのようには、今回で最終回です。来月以降はBusiness Media誠で新たな連載が始まる予定。楽しみにお待ちくださいね。今までありがとうございました。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

NPO法人しごとのみらい理事長

1971年生まれ。自動車メーカー、ソフトウエア開発会社を経て、現職。プレッシャーの多い職場で自身が精神的に追い込まれる中、リーダーを任される。コーチングや心理学の手法を実践しチーム変革に成功。難しいコミュニケーションスキルを誰もが使えるようにした「トライアングルコミュニケーションモデル」を考案。思考法やコミュニケーションをテーマとした研修・セミナー・講演・執筆活動を行う。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。

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