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急増する管理職になれない40代ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

起死回生目指すなら「女性の部下の活かし方」を学べ!

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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。



苦手な人ほど上手にできる 女性の部下の活かし方

 わたしはこれまで人と組織を束ねる上司の皆さん向けに「上司力」をテーマとした本を多数書いてきた。この度『女性の部下の活かし方』(メディアファクトリー新書)を上梓した。「あぁ、最近よく聞くワークライフバランスとかってやつでしょ」「産休とか時短勤務のさせ方とかいわれてもねぇ」と矮小化され「女性部下のために面倒なことを押し付けないでよ」「俺には関係ないし」と他人ごとと捉えるミドル男性が多いため、本稿ではその誤解を解きたいと思う。この本は決して女性部下のためではなく、ミドル男性が抱えるキャリアの壁を超えるための本である。

 就職氷河期を経験してきた20、30代と比較して、バブル世代とやゆされつつも正社員のキャリアを手にできた40代。大手企業に勤める人も多く、恵まれていると思われがちである。しかし、実態は企業間のグローバル競争の最前線で働き、社内では大量採用された同期とのし烈な競争にさらされ、厳しい現実と向き合い続けてきた。そんななか、入社時に楽観視していた昇進や昇格もしづらくなっている。

 1990年に239万人いた管理職は2010年には33ポイントもダウンし161万人、2020年には4割近く減り147万人となり、いっそう狭き門になると予測されている。かつ男性は女性より大きく減少するという(『2020年の「働く」を展望する』・リクルートワークス研究所)。しかも厳選採用され常に猛勉強し続けてきた30代に先を越されるケースも散見され始めた。

 現在は、昔のような年功序列が意味を失いつつある時代だ。40代は、入社したころと比べて、同期で管理職になれる確率は半減以下というのが実態だろう。しかも運よく管理職になれたとしても実力主義の競争社会において、誰もが今の地位に泰然としてはいられない。

 バブル期大量入社世代では課長にすらなれない人が急増している。大手企業ならなおさら競争は激しい。40代にもなってなんの役職も与えられず、20代の若手社員と同じ仕事をしながら「俺のキャリアは何だったのだろう」と自己嫌悪に陥っている人も山ほどいる。

 もはや40代は、会社員としての勝負はもうついたと諦めるしか道はないのだろうか。65歳、70歳まで働くことになるであろう時代において、まだキャリアの折り返し地点に過ぎない年齢で主任や係長にとどまることを受け入れるのはあまりにも切なすぎる。ここから巻き返しを図る起死回生策は何かないのだろうか。そんな気概のある方に提案したいのが、新しい時代のリーダーシップを学ぶことだ。

 わたしが営む人材育成企業FeelWorksでは、さまざまな業界の企業に「上司力研修」や「上司力鍛錬ゼミ」を提供し、管理職や幹部育成を支援している。部下指導や組織作りに奮闘する現場上司の悩みと向き合うなかで、管理職に求められる能力が昭和の時代と平成の時代では様変わりしたと痛感している。

 昭和の時代の会社組織は、一言でいうと「男社会」だった。しかも正社員中心の年功序列で、あうんのコミュニケーションも通じた。上司の命令に部下は従うものであるという上意下達が徹底していた。部下時代の忍耐を乗り越えていけば、出世と給料アップが望めた。つまり、「ポスト」と「報酬」による動機づけされるピラミッド組織であったのだ。

 しかし、バブル崩壊以降、正社員は厳選採用されるため、実質の働き手として職場には派遣社員や業務委託スタッフなど非正規雇用者が増えてきた。今や非正規雇用者は正社員の半分のボリューム。この非正規雇用の働き方にしなやかに対応してきたのは、男性よりも女性である。2011年の男性の雇用者のうち非正規雇用者が占める割合は18.7%だが、女性は52.7%にも上る。

 また1980年代の男女雇用機会均等法制定以降、幾度かの改定がなされ、今や男女平等ではなくポジティブアクション。つまり女性を積極的に登用することを国は企業に求めている。ところが、昨今では国に強要されずとも女性を活用しようとする企業がにわかに増えてきている。少子高齢化で労働市場が先細りするなか、人口の半分を占める女性の潜在力に気づいたからだ。

 第二次産業のメーカーが青息吐息となり、第三次産業が台頭し、産業構造がサービス化していることも、女性労働力をより魅力的にさせている。実際、経済同友会は2012年5月に2020年までに女性管理職30%以上目標を打ち出すなど、経営ボードも女性登用をパフォーマンスではない経営戦略と明確に位置付け始めた。あなたの会社でも、結婚・出産後も長く働く女性が増えているはずだ。

 当たり前だが、そもそも非正規雇用者に「ポスト」と「報酬」の動機づけは使えない。また正社員であっても女性は家庭や育児との両立を考え、昇進や昇格に躊躇しがちである。つまり女性が増えて活躍し始めた現代の会社組織においては、旧来のマネジメントが通用しづらくなってきているのだ。男性の理屈でマネジメントしようものなら「すぐ泣く」「すぐ辞める」「すぐ群れる」という反応が起こり途方に暮れた経験のある方もいることだろう。

 結果、動機づけのツボが分からず、つい腫れ物に触るような対応をしてしまう。そして一層マネジメントはうまくいかなくなる。この現実は男社会に慣れ親しんできた40代ミドル男性からすると衝撃であり脅威である(本書のなかではさらに衝撃的な現実も紹介している)。

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