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よいアイデアを素早く実行して素早く失敗――学習主義で沸き立つ会社になるITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

顧客主導の今、顧客が望む「モノ」を、ものすごいスピードで提供しなければならない。日本企業がグローバルで弱いのは、単純にスピードが遅いため。意志決定と実行が遅いためだ。

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 アイティメディアが開催している「ITmediaエグゼクティブ勉強会」にビジネスコーチ 代表取締役の細川馨氏が登場。人と組織の目標達成のための実行を支援する「ビジネスコーチ」の第一人者としての経験やノウハウを生かし、ワークショップを交えながら「"『沸き立つ"会社のつくり方 〜世界で勝ち抜く経営者リーダーシッププログラム〜」と題した講演を行った。

沸き立つ会社のマネージメントとリーダーシップ


細川馨氏

 「沸き立つ会社とは、"みんなが自発的にアイデアを出し、ワクワクしながら業績を上げる会社"のことである。現在は顧客主導の時代であり、お客さまが望む"モノ"を、ものすごいスピードで提供しなければならない。日本企業がグローバルで弱いのは、単純にスピードが遅いため。意志決定と実行が遅いためだ」と細川氏は言う。

 「社員のアイデアに対し、必ず否定から入る上司がいる会社は沸き立つ会社とはいえない。スピードの遅い会社は多い。ビジネスコーチを通じて改善策を提案しても、その提案に関して社内で1年以上かけて検討を続け、いまだに検討している会社もある。良いアイデアは、みんなで応援し、即実行する。現在は、そういう時代である」(細川氏)。

 沸き立つ会社になるためには、マネージメントとリーダーシップが重要になる。細川氏は、「ワークショップやコーチングを通じ、マネージメントを"見える化"することが重要。ミッション、価値観、行動という"目的"と、ビジョン、戦略、実行という"目標"を見える化し、それが一致している会社はバランスの良い会社である」と言う。

 一方、沸き立つ会社になることを阻害する思考の枠について細川氏は、次のように語る。「自分の経験は正しい、問題は他者にあるという思考である。つまり頭が固くなること。思考の枠を最大限に解放させるには、より高い目標値を設定する。高い目標を掲げることで、イノベーションを加速させることができる」

 例えば前年比105%の目標であれば、少しがんばればできると思ってしまうが、200%の目標になるとかなり頭を働かせなければ達成が難しい。細川氏は、「成功するためには、自分の頭を切り替え、思考の枠を解放して、こうゆうやり方もある、ああゆうやり方もあると考えることが重要になる」と話す。

 「とんでもない発想をすることで、風船が破裂する。破裂したときに、イノベーションが生まれる。頭の堅い人間は"それは無理だ"と否定するが、気にしてはいけない。沸き立つ会社になるためには、失敗を歓迎すること。10戦して1勝9敗でオーケー。その1勝が大きければ成功になる。一番ダメなのは、失敗を恐れて実行しないことだ」(細川氏)。

リーダーが実践すべき「組織成功循環モデル」

 高い目標を達成するためにリーダーが実践すべきなのが、「組織成功循環モデル」である。マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱する組織成功循環モデルは、「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」という4つの質のサイクルで組織に成功をもたらすことが目的。グッドサイクルとバッドサイクルの2つがある。

 グッドサイクルは、お互いを尊重し、一緒に考える「関係の質」の向上から開始。関係の質が向上すると自分で気づき、面白いと感じる「思考の質」が向上。思考の質が向上すると、自分で考え、自発的に行動する「行動の質」が向上し、成果を得ることで「結果の質」が向上する。成果が得られると信頼関係が高まり、さらに関係の質が向上する。

 一方、バッドサイクルは、結果がすべてであり、「結果の質」の向上から始まり。成果が上がらず結果の質が低下すると、対立や押し付け命令により「関係の質」が低下。おもしろくなく、受け身になるため「思考の質」も低下し、自発的、積極的に行動しないため「行動の質」も低下。成果が上がらなくなり、結果の質がさらに低下する。

 「ちょっとした成功をほめることで人は伸びる。いままでと同じことをやっていたのでは、いままで以下の結果しか期待することはできない。そこで常に改善をしていかなければならない。沸き立つ会社になれるかどうかはリーダーしだいである」(細川氏)

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