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成長の原動力は会社の生き様をもっと「面白」くという発想(前編)気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀(1/2 ページ)

ニッチな分野でオンリーワンのサービスを作ることが得意な面白法人カヤックは、競合と競うのではなく、新しい領域を切り開きオリジナリティを追求している。次々とユニークなサービスを生みだす組織は、どのように形成されているのか。

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 面白法人カヤックは、鎌倉に本社を構える会社だ。2012年にできた横浜展望台オフィスには開放感が漂い、社員の雰囲気や個人の持っている名刺からは「面白いこと」を重要視した、自由な社風がうかがえる。

 「サイコロ給」――給料日前にサイコロを振って、出目で給料を決める制度は、知っている人も多いのではないだろうか。一風変わった社内制度が着目されることの多いカヤック。しかし、ユニークな社内制度が次々と生まれる仕組みや、同社のマネジメント手法については、いまだ多くは語られていない。

 代表取締役が3人、200人前後いる社員のうち8割がWebクリエーターという一風変わった組織構成で、どのように組織の成長性を維持しているのだろうか。その秘密を、柳澤大輔代表と執行役員で組織マネジメント業務を担当している(当時)佐藤純一氏に聞いた。

会社の生き様をもっと面白く。「会社そのものをコンテンツ化する」という発想。


柳澤大輔代表

中土井:面白法人カヤックというと、「サイコロ給」(毎月給料日前にサイコロを振り、「(サイコロの出目)%×給料」が、+αとして支給される制度)や「スマイル給」(社員が毎月ランダムに誰か一人の長所を評価し、その評価が給与明細に記載される制度)がよく知られていて、ユニークさが話題になります。

 具体的にどのような事業を展開しているのかなど、会社全体を通しての特徴をまずは聞かせてください。

柳澤:会社を作ってから15年がたち、今は200人以上の規模の会社になりました。ウェブクリエーターが8割の会社で、その中でも6割がエンジニアです。基本的には技術者の集団です。

 「面白法人」と名付けているように、「会社そのものをコンテンツ化する」というコンセプトが大きな特徴です。「サイコロ給」とか「スマイル給」という面白い制度ができたのも、そういう考えから生まれているものです。会社そのものを使って、エンターテイメント化していこうとしています。

 受託的なビジネスと自社サービスをハイブリットで行っているのが特徴的です。

中土井:受託に関しては、どんな仕事の依頼が多いですか?

柳澤:面白がらせるとか、バズを起こすということに特化しているので、キャンペーンのような仕事の依頼が多いです。一方、自社サービスにおいては、ニッチな分野でオンリーワンのサービスを作ることが得意です。

 例えば、国内で建築家が最も多く集まっているサービスとか、素人の画家が4000人集まって絵を売るサイトなどがあります。音声を投稿するサービスである「こえ部」などもユニークなサービスです。

中土井:オリジナリティがあります。

柳澤:他とかぶらないものを作ろうという意識が強いので、ニッチだけどオンリーワンなものが多いですね。

 ちなみに、オリジナリティを追及するというのは、実はとても深く、競合と同じ領域で競い合いシェアを奪うのではなく、オリジナリティを発揮すれば、新しい領域を切り開くことができます。相手から奪うという発想から抜け出すために、オリジナリティがあります。そう考えると、オリジナリティは他人への優しさにつながります。

中土井:深いですね。とても面白い。

会社をコンテンツにして面白くしていこうという発想は、どこから湧いてきたのですか?

柳澤:会社設立時に、法人を人とみなす法律上の考え方を知り、ピンと来ました。会社も法人という人なんだったら、生き様を面白くしたらいいのじゃないかと思いました。

中土井:会社を人として見て、会社の営みを人としての生き様ととらえるんですね。なるほど!

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