グローバルで活躍するための「考え抜く力」:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
十分に理解したうえで意見を持つ。理解を深めた後大切なことそれは根拠。自分の頭で考え抜くことで、意見が説得力を持つようになる。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
「どうしたらいいか、なんて自分で考えてよ」
「言いたいことは分かるんだけど、いまひとつ説得力がないんだよね……」
これに似たようなことを、皆さんもどこかで言われたことはありませんか。自分で考えて自分なりの答えを出すこと。想定外の事態を乗り切るべく、新たなシナリオを考え出すこと。自分の意見に説得力を持たせること。いずれも、きちんと考えることができなければ、うまくはいきません。しかし、「きちんと考える」には、どうすればいいのでしょう。
グローバルな舞台で活躍する人々に目を向けてみると、彼らは一人ひとりが明確な意見を持ち、じっくりと考え抜くためのスキルを身につけているようです。これはひとつには、彼らが受けていた教育のためだと言えます。エリートと呼ばれる人たちの多くは、アメリカやヨーロッパなどの良質な学校に学んでおり、そこで彼らが習得するのが「考え抜く力」なのです。これこそが、グローバルで活躍するための武器になるわけです。
『世界のエリートが学んできた「自分で考える力」の授業』は、日本の学校が教えてくれなかった「考え抜く力」を、欧米の学校での教え方をヒントに、大人、主にビジネスパーソン向けに分かりやすく伝授します。ここでは、その中でも、特に大切なことについて話します。
ハーバード大学も提唱する「自分の意見」の作り方3ステップ
先生「リーダーってどんな人だと思う?」
子ども「偉い人!」「人気のある人!」「頭のいい人!」
先生「"リーダー"について、分からないこと、知りたいことって何がある?」
子ども「どうしたらリーダーになれるの?」「昔からリーダーっているの?」
先生「"リーダー"についてみんなが疑問に思うこと、知りたいことを挙げてみようよ。それから、みんなで調べて、疑問を解決しよう」
先生「さて、"リーダー"について、色々なことが分かったところで、みんなに質問。"理想のリーダー"ってどんな人だと思う?」
子ども「みんなのこと、一人ひとりのことをきちんと考えてくれる人。みんなを人間として扱わずに失敗したリーダーは、今までたくさんいたから」
この「ある教室でのやり取り」は、欧米の小学校での授業風景をイメージしたものです。この欧米式授業では、日本の普通の学校の授業では教えてくれない「あるもの」が見事に指導されています。その「あるもの」とは、「自分の意見の作り方」。考え抜く力の基本です。
この授業風景の流れをおさらいしてみます。
子どもたちはまず、(1)自分が「リーダー」についてどんなことを知っているか確認し、(2)次に「リーダー」に関して疑問に思うことや知りたいことを調べ、(3)最後に「理想のリーダー像とは何か」と各自意見を言っています。この(1)→(2)→(3)こそが、どんなテーマにも応用の利く、「自分の意見の作り方」の3(スリー)ステップです(米・ハーバード大の教育プロジェクトも、この3ステップの重要性を唱えています)。
「自分の意見の作り方」の3ステップを、ビジネスでも応用が利くように焼き直すと、こうなります。
- ステップ(1) 「あること」について自分はどれだけ理解しているのか、まずは確認する(「理解していること」を確認することによって、「理解できていないこと」の存在が明らかになる)
↓
- ステップ(2) 「あること」について理解できていないことは何か、把握し、「理解できていないこと」を解決するために、調べる(理解が深まる)
↓
- ステップ(3) 自分の意見を持つ
ここで重要なのは、「あること」に対する理解を深めること(ステップ(1)と(2))なしに、いきなり「意見を持つ」という段階(ステップ(3))に飛ぶのはNGだ、ということです。十分に理解した上でこう言っているのならこれは立派な「意見」ですが、あまりよく分かっていないのにこう言ったとしたら、「印象」に過ぎません。
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