米Amazon.com創業者ジェフ・ベゾス氏が設立した宇宙企業Blue Originは1月22日(現地時間)、2015年11月に垂直着陸に成功したロケット「New Shepard」の再利用(打ち上げ・着陸)に成功したと発表した。
同社によると、New Shepardはカーマンライン(国際宇宙連盟が大気圏と宇宙空間の境界と定めた海抜高度100キロ)を1.7キロ超えてカプセルを切り離し、カプセルとブースターロケットの双方が無事着陸したという。ベゾスCEOは同日、再利用実験の動画を添付した「中古ロケットは飛べるかな? 動画と技術的詳細はこちら」というツイートを投稿した。
ベゾス氏によると、再利用したロケットは、パラシュートや幾つかの部品を交換し、ソフトウェアを大幅にアップデートしたものという。動画では、パラシュートと逆噴射の併用で減速して着陸するロケットとカプセルを見ることができる。
ベゾス氏は、垂直着陸にこだわる理由を「われわれのビジョンは宇宙で何百万人もの人々が生活することだ。それを実現するために必要な超大型ロケットには垂直着陸が最適なのだ」と説明した。
ロケットの垂直着陸は、打ち上げロケットの回収・再利用を低コストに行う上で重要だ。TeslaのCEOでもあるイーロン・マスク氏が率いる宇宙企業SpaceXも昨年12月に「Falcon 9」ロケットの垂直着陸に成功したが、ロケットの再利用についてはBlue Originが先んじた格好だ。
ベゾス氏は、現在New Shepardより何倍も大きい軌道輸送船を開発しており、「年内にこの軌道輸送船の詳細を発表したい」と語った。
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