「うれしい派」の人は、迷う:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
「迷う人」と「迷わない人」には、はっきりとした違いがある。「迷う人」は、意思が弱いのではなく「迷う考え方」をしているだけなのだ。「迷わない考え方」に変えるには。
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「迷う人」と「迷わない人」には、はっきりとした違いがあります。「迷う人」は、意思が弱いのではありません。「迷う考え方」をしているだけなのです。「迷う人」が、迷わないようになるためには、「迷わない考え方」に変えるだけでいいのです。
生き方には、
1、うれしい派
2、楽しい派
という2通りがあります。
仕事をする時でも、「うれしいから仕事をする人」と「楽しいから仕事をする人」の2つに分かれます。
迷う人は「うれしい派」です。
AかBかを選ぶ時に、どちらがうれしいかで選ぼうとしても、選べません。「うれしい」と「楽しい」とは違います。
自分がしたことに対して他者が見返りをくれた時に、「うれしい」と感じます。
どちらの見返りが大きいかを計算するのが「うれしい派」です。判断基準は、どちらがお金が儲かるか、どちらがほめられるか、どちらが感謝されるかです。実際は、この判断基準では決められません。予測ができないからです。見返りは他者が決めることです。自分では決められません。
だから、迷うのです。
「楽しい派」は、どちらが自分にとって楽しいかで決めます。
他者の見返りとかリアクションとは関係なしに生きているのです。プレゼントの仕方で、「うれしい派」と「楽しい派」の違いがよく分かります。
「うれしい派」は、プレゼントをあげた時に相手が喜んでくれたらうれしいのです。「これ、持っている」と言われたら、その瞬間にうれしくなくなります。「あの人ひどい。普通、持っていてもそんなこと言わないよね」と思います。プレゼントをあげることで、相手に憎しみが湧いてくるのです。
「もし相手が持っていたらどうしよう」と事前に考え始めると、選べなくなります。相手の事情だから、予測できないのです。たとえ今は持っていなくても、ほかの人が自分より1ランク上のプレゼントをした瞬間に、アウトです。
そうなると、まわりのすべての人たちに何をあげるのか聞くことになります。それでも調べ尽くすことはできません。
これが迷いの原因です。
結局、AかBかで迷っているのではないのです。「うれしい派」の生き方から抜け出さない限り、迷いからは抜け出せないのです。
見返りを求めると、迷う。
「うれしい派」の人は、常に見返りをベースに考えています。例えば、就職試験で「私は接客業が好きです。なぜならば、人に喜んでもらうのが好きだから」と言う人がいます。
言っていることは美しいし、正論です。ところが、この人はすぐ辞めてしまいます。何かをしたら必ず喜んでもらえるのは、赤ちゃんとお母さんの関係だけです。社会に出ると、何かをしたからといって、誰かが感謝してくれるとは限らないのです。
中谷塾には、介護の仕事をしている人が大ぜいいます。「認知症の人を一生懸命介護してあげて、感謝される?」と聞くと、ベテランの人はニッコリ笑って、「いや、感謝はないですね。毎日噛まれています」と言っていました。
彼女は「うれしい派」ではありません。介護の仕事を楽しんでしているのです。ほめてもらおうと思うと、介護の仕事は続きません。
世の中の仕事のうち、99%は見返りのない仕事です。
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