6000人のリーダー層を変えた「すごい習慣」とは?:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
ムリのないラクな方法で行える「行動科学マネジメント」に基づいた習慣化メソッド。
この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。
ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
再現性のある「科学的メソッド」×成果につながる「いい習慣」
私は、これまでに大手、中小企業から官公庁を含めて180施設で、6000人以上のリーダー層と、その予備軍に会いました。皆さんに共通するのは、誰1人として「変わりたくないと思っている人はいない」ということです。
現在、優秀な成果を収めている人も「今よりもっと成長したい」「もっと効率よく仕事をしたい」「さらに生産性を上げて、チームを活性化させたい」などと、常に向上心を持って、仕事に取り組んでいます。
ただ、そんな意欲のある人でも、努力がきちんと報われなかったり、なかなか成果を実感できなかったりすると、意外なほど簡単にくじけてしまいます。人は、やる気や意志だけで、何かを続けられるほど強くはないということです。
本来、人は「めんどくさがり」で、できればラクをしたいという「怠け者」の一面を持っています。だからこそ、こうした人間の特性、心理を踏まえたムリのないラクな方法で行うことが、「いい習慣を定着させる」コツなのです。それが普段、私が研修で皆さんに伝えている「行動科学マネジメント」に基づいた習慣化メソッドです。
行動科学マネジメントとは、米国のビジネス界で大きな成果を上げている行動分析学や行動心理学をもとに、日本人に最適な形にアレンジしたものです。やる気や能力に頼らず、誰がやってもラクに成果が出る「再現性」を備えた点が最大の特長です。
「25分集中」したら「5分休む」――これだけでガラリと変わる
ビジネスパーソンに特に重要な「集中力が持続する」習慣は、1つの作業に取り組む際に「25分集中」したら「5分休む」を1セットとし、これを何セットも繰り返すのです。
このタイムマネジメント手法を「ポモドーロ・テクニック」と呼びます。
具体的なやり方は、
1、やるべき作業を決める
2、タイマーを25分でセットする
3、タイマーが鳴ったら手を休め、どこまでやったかを記録する
4、5分間の休憩をとる
5、1〜4を1セットとし、4セット(2時間)終わった時点で長めの休憩(15分〜30分)を取る
これを繰り返すだけです。
私たちが集中できる時間には限界があります。ムリをしてやり続けたとしても、生産性は上がりません。むしろ、規則的に小休憩を取って、小まめに集中力を回復させるほうが、結果として集中力が長続きし、仕事の生産性が上がるのです。
この方法は、デスクワークの人にお勧めです。私が研修で指導をしたITエンジニアは、集中力が持続することによって作業効率が上がり、同じ時間で、それまでの2倍の仕事量をこなせるようになりました。
「同時進行」より「1タスク集中」
「できる人ほど、多くの仕事を頼まれる」――。これはビジネスパーソンの宿命です。だからこそ身に付けておきたいのが「複数の案件を回す」習慣です。
ある実験によると、複数の仕事を同時にこなすより、1つに集中して取り組む方が、はるかに生産性が高いという結果が出ています。仕事は「同時進行」より「1タスク集中」です。「1つ終わったら、次に移る」を習慣づけることが、複数の案件を回すコツです。
ポイントは、1つ1つの仕事を、「小さな単位(タスク)に細分化する」こと。そして、1つのタスクを終えたら、別の仕事に移るようにするのです。これを繰り返すことで、複数の仕事も並行してサクサク進めることができます。
小さなタスクに細分化する方法は2つあります。
1、「作業段階」を5つに分ける
2、「1日の業務時間」を3つに分ける
企画書の作成を例に考えてみましょう。例えば、1のように全体を100%とし、それを20%ずつに区切って、5つの作業段階に分けます。
(1)新商品のアイデアを考える
(2)ライバル商品の動向を調査する
(3)セールスポイントを書く
(4)書いたものを読み直して修正し、提出する
(5)上司のコメントを反映し、完成させる
そして、1つの作業が終わるまで、別のことは一切やらないようにするのです。5つに分けるというのは目安ですので、3つでも、7つでももちろん大丈夫です。
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