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タイプ5 れんがを積むだけのリーダーあなたは大丈夫? 指示待ち人間を作るリーダー、5つのタイプ(1/2 ページ)

言っていることと、やっていることに矛盾があれば、あなたの言葉に説得力はない。

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 この連載は、「指示待ち人間を作るリーダー5つのタイプ」を全5回にわたってお届けします。今回が最終回です。

れんがを積んでいないか?  

 「誰もがリーダー。一人一人がリーダーの自覚を持ち、指示待ち人間を作らないリーダーシップを目指そう(タイプ4 任せきれないリーダー参照)」と言いながら、あなた自身が指示待ち人間になっていないだろうか?

 3人のれんが積み職人の話を、聞いたことがあるだろう。「何をしているのか?」と尋ねられ、「命令されて、れんがを積んでいる」「壁を作って、家族を養っている」「教会を建てて、人々の心を救う」と答える3人が登場する。

 命令されてれんがを積む職人が、指示待ち人間であることは誰の目にも明らかだ。家族を養うことが目的の職人も、クビにならずに、報酬に足る労働力を提供するだけだろう。

 一方で、人々の心を救うという目的を持つ職人は、「どうしたら、1人でも多くの人を救えるのか?」「どうしたら、教会に足を運んでもらえるのか?」と自問するだろう。そして、子どもやお年寄りでも上がりやすい階段の高さを考えてれんがを積む。リーダーとしては、3人目のれんが積み職人を育てたい。

 だが、もしリーダーのあなた自身が、命令されてれんがを積むだけの職人だとしたら、どうだろうか? 家族を養うためだと割り切って、会社に通っているとしたら、どうだろうか?

 命令されてれんがを積んでいるリーダーの下に、「教会を建てて、人々の心を救う」という目的を持つメンバーなど、育つはずもない。そのため、リーダーがれんがを積むだけの職人であってはいけない。

言行一致しているか? 

 「私は、大丈夫」と思ったあなたも、自問してみてほしい。「教会を建てて、人々の心を救う」ことが目的だと言いながら、日々の話題は売上や利益のことに終始していないだろうか? 自分の出世や保身、個人的な興味関心を優先していないだろうか?

 メンバーは、あなたが何に照らして意思決定しているかを見ている。言っていることと、やっていることに矛盾があれば、あなたの言葉に説得力はない。信頼もされない。

 もちろん、売上や利益を確保することも、社内政治も必要だ。だが、「教会を建てて、人々の心を救う」という目的への直接的な貢献がイメージしにくい場合は、言行一致していない印象を与える。目的への貢献がイメージできるストーリーを組み立て、語る工夫が必要だ。

 「東北を元気に!」をスローガンに掲げるA社の短期目標は秀逸だ。「東北地方からの仕入れ20億円の達成」である。20億円の仕入れを実現するには、売上規模にして約100億円が必要だという。売上100億円を短期目標に設定することもできる。

 しかし、それでは「東北を元気に!」への貢献がイメージしにくい。「東北を元気づけるために、私たちは東北からの仕入れ20億円を実現する。この目標を達成するには、売上100億円が必要だ」。こう語れば、売上の話も東北を元気にするという目的と一致する。

メンバーは、あなたの鏡 

 人間の脳には、「自分は正しい、できている」と正当化する特性があるそうだ。そのため誰でも、「自分は、指示待ち人間ではない」と思う傾向にある。ではどうしたら、脳の特性に惑わされずに、自分の姿を客観的に評価できるのだろうか? メンバーという鏡に映る自分の姿を、確認してみるといい。

 「部下が困っていること、悩んでいることを聞いて、相談に乗ってほしい。それなのに、できていないことの洗い出しに終始している」ある部長に不満を募らせるB社長から、どう指導したものかと相談を受けたことがある。

 そこで、この部長に宛てたB社長のメールを読みあげてもらった。相手をよく観察したアドバイスは、愛情にあふれていた。しかし読み終えたB社長は、「何に困っているのか、何に悩んでいるのか、私も彼に尋ねていませんでした」と苦笑した。

 C支店長からは、「“あれやれ”、“これやれ”と言うだけで、自分は何もしない課長がいる。課に活気はないし、メンバーからの信頼もない。どう指導したらよいか?」という相談を受けた。

 C支店長に、この課長との関わり方を尋ねてみた。支店目標の各課目標へのブレークダウン後は、報連相を待つだけで、自分からはサポートを申し出ない「丸投げ」(タイプ4 任せきれないリーダー参照)スタイルだった。

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