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自動運転で変わるクルマの未来を「移動のプラットフォーム」でリードしたい――IDOM 執行役員 北島昇氏長谷川秀樹のIT酒場放浪記(1/5 ページ)

自動運転の普及で移動がサービス化する時代に向け、「車のプラットフォーム」を「移動のプラットフォーム」に変えたいと語るIDOM 新規事業・人事・広報管掌 執行役員の北島昇氏。その時代を見据えた新規事業開発や組織風土変革のコツとは?

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この記事は、「HANDS LAB BLOG(ハンズラボブログ)」の「長谷川秀樹のIT酒場放浪記」より転載、編集しています。


 ハンズラボCEOの長谷川秀樹氏が、エンタープライズ系エンジニアが元気に働ける方法を探し、業界のさまざまな人と酒を酌み交わしながら語り合う本対談。

 今回のゲストは、中古車売買の「ガリバー」を運営するIDOM(イドム)の北島昇氏(新規事業・人事・広報管掌 執行役員)です。自動運転の時代を見据えた新規事業開発から組織風土の変革まで、難題に果敢に取り組む北島氏。その大胆な考え方の背景に迫ります。

自動運転で車がサービス化される時代に備え、今やるべきこと

長谷川: 自動車業界はこれから、「自動運転」を軸にものすごい変化があるだろうといわれていますよね。IDOMさんとしては、自社への影響や打ち手をどういうふうにお考えですか?

北島: 自動車のこれからの変化って、自動運転のような自動化の流れと、シェアリングエコノミーをはじめとするUberのようなサービス化の流れと、2軸あるんです。将来は2つの流れが交わり、運転手のいない車をスマホ1つで呼び出せるようなサービスが出てくるでしょう。それがいつなのかは人によって考えが違いますが、IDOMが存在し続ける限り、それを無視できなくなる時代がくると思っています。そう考えて、今は店舗数を増やして中古車の流通を伸ばしていくと同時に、新規事業としてサービス化に取り組んでいます。

 「Car as a Service」で「CaaS」と呼んでいるんですけど、車を売る、買う、貸す、借りる、使うということに関わるビジネスをどんどん立ち上げてプラットフォーム化し、ドライバーIDをどんどん蓄積していこうとしているんです。

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IDOM 新規事業・人事・広報管掌 執行役員 北島昇氏

長谷川: ドライバーIDというのは、要するに運転する人のIDということですか?

北島: うちで売った人、買った人、借りた人、貸した人……、それぞれのユーザーさんたちのIDです。最終的にはその人たちに価値を提供する、IDOMのプラットフォームを作りたい。要は「買った車を貸せます」「借りている車を買えます」、もしくは「買った車をボタン1つでCtoCに出品できます。急いでるんだったら、ガリバーが買い取ります」ということができるように、売る、買う、貸す、借りる、使う、全部を抽象化して、1つの中に入れちゃおうと。

 例えば、長谷川さんがうちで車を買ったとします。3週間沖縄に行きますというときは、ボタン1つポチッと押してくれたら、その間はIDOMが長谷川さんの車を貸してお金を稼がせておきます。長谷川さんが帰ってくるときには、ちゃんと車を戻しておきます。で、沖縄で長谷川さんが乗る車も、僕らのプラットフォーム内で用意します――、みたいなことを実現しようというのがCaaSです。

長谷川: なるほど。

北島: でも、このビジネスは自動運転で移動がサービス化する時代になると、無効化されるんですね。自動運転の車って、所有者も流通方法も変わって、僕らが今やっている買取や販売が割り込む余地がなくなるでしょうから。

 そういう時代になるまでにプラットフォームをちゃんと作っておいて、最初は「車のプラットフォーム」だったものを、いずれは「移動のプラットフォーム」に変えたい。どこに行ってどれだけ滞在するのかによって、車と新幹線と飛行機、どれで行くのがいいのか、あるいはオンデマンドバスか、ロボットタクシーか、そういうところまで含む移動のプラットフォームです。

 まだまだ不確実で、ぼんやり考えてる状況ですけど、そのときに備えて僕らが今持つべきは、調達力や与信という意味も含めた「お金」、そしてもう1つはドライバーIDとそれにひも付くものも含めた「データ」です。コネクテッドカーというんですけど、車のIoTですね。ドライバーの移動経路と運転の仕方のデータを収集するための事業にも投資をしていきます。

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