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技術者が令和に飛躍するための3つのポイントビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

マインドを変えて今までにない経験を積みキャリアを広げることで、令和は逆に、チャンスをつかむ機会がある時代となる。

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『技術者よ、経営トップを目指せ!』

 令和に入り、デジタル化に代表される技術革新がこれまで以上のスピードで進むのは間違いありません。そんな激変する環境下で、どのように仕事に取り組めばよいのか――。そんな不安を抱える技術者も少なくないでしょう。でも心配は無用です。マインドを変えて今までにない経験を積みキャリアを広げることで、令和は逆に、チャンスをつかむ機会がある時代となるからです。

 デジタル化が進み、また新たな技術が次々と生み出され、企業はどこも事業構造を変革すること、さらにイノベーションを起こすことに躍起になっています。なぜなら、イノベーションを実現していかなければ、変化する市場で、もはや生き残ることもできないからです。企業を成長させるためには、今後どんな技術が核となって事業が変わっていくのかを分かっている人が経営に携わる必要があるでしょう。これは世界を席巻するGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の創業者が全て技術者であることからも明らかです。

 私が技術者にとって「今の時代がチャンスだ」と考えるのには、こういう背景があるからです。ただ、技術者の多くは今のままの状態ではこのようなチャンスをつかむことは難しいでしょう。今後はこれまでの技術者にはあまり必要なかった経営に関する経験や知識が求められるからです。

 味の素に技術者として入社した私は、拙著『技術者よ、経営トップを目指せ!』で、技術者がその垣根を破り、企業に、そして社会に貢献していくためにどう経営に携わっていくべきかを解説しています。ここではその中から、技術者が気を付けるべき3つのポイントを紹介します。

自社のビジョンを考え経営計画を読み込む

 まず1つ目のポイントは経営の視点を身に着けることです。一社員がいきなり「経営」といわれてもピンとこないかもしれません。では具体的にはどうすればいいのか。まずは自分の会社が公表している中期経営計画などにあるビジョンと経営方針を読み込み、それらが腹落ちするか否か考えましょう。

 ビジョンや経営計画で自分の会社はどういう成長戦略を描いているのか、自分が所属する部門はその中でいかに位置付けられているのかについて見ていきます。その際、自分がいま取り組んでいる業務は自社の成長にどのように貢献できるのか、という視点で読み込むことが重要です。

 技術者の中には自分の研究や技術開発のテーマにしか関心がない、それを続けていられればそれでいい、というマインドの人が少なくありません。でもそれでは令和の時代を生き残ることは難しいでしょう。

 例えば、世界一の自動車メーカーであるトヨタ自動車は経営戦略の柱の1つとして、移動手段をサービスとして提供する「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」を掲げています。MaaSでは自動車は単なる乗り物ではなくいろいろなサービスを体験できる空間となります。そんな未来を描くトヨタで以前のような効率を追い求める技術分野だけで開発していきたいと思っても、それは難しいかもしれません。

 孫正義会長兼社長が率いるソフトバンクグループも、ずいぶん前から「データ活用の時代になる」と、社会や自社が目指す方向性を示し、通信事業にとどまらず新たな事業を生み出すために多様なベンチャーや企業との間でエコシステムをつくる『群戦略』を推し進めています。いまやソフトバンクグループは巨大なインキュベーション企業で、一昔前と姿が異なります。このように自分の会社が発するメッセージと自分のやりたいことや価値観が一致しているのか、その中で自分はどう貢献していけるのか、そういった視点を養うことは今後、より一層大切になっていくでしょう。

 もちろん、自社のビジョンや経営戦略に関心を配り始める時期が早すぎるということはありません。新入社員の頃から見ていけばそれに越したことはありませんが、少なくとも35歳〜40歳、課長職に就くくらいからは必ず目を通し考える必要があります。

 というのも、50歳になってから「この会社には自分の居場所がない」と感じても、取れる行動には限りがあります。35歳くらいの時点で、今の会社のビジョン実現に尽くすのか、別の道を探るのかを考えていくことが求められるでしょう。

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