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デジタルを解き、未来を創る――着実なDXへの挑戦がよりよい未来の社会を創るNTT DATA Innovation Conference 2020レポート(1/2 ページ)

デジタル技術の進展により、これまで想像できなかったような「リアルワールドとデジタルワールドが融合された世界」が実現されようとしている。テクノロジーが創る未来の世界に向けて、企業が取り組むべきアプローチとは。NTTデータの取り組みや人材育成などを、事例を交えて紹介する。

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 2020年1月24日、NTTデータ主催のプライベートカンファレンス「NTT DATA Innovation Conference2020」が開催された。 12回目の開催となる今年のテーマは「Accelerating Digital――デジタルで創る未来――」。主催者講演に、NTTデータの代表取締役社長である本間洋氏が登場し、「デジタルを解き、未来を創る」と題した講演を行った。

デジタルワールドとリアルワールドが融合した世界へ


NTTデータ 代表取締役社長 本間洋氏

 2019年11月に、2025年の国際博覧会が大阪で開催されることが決まった。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。「未来社会の実験場」というコンセプトのもと、人工知能(AI)や仮想現実(VR)の最先端技術を活用した未来社会を体験する「場」になることが予想される。

 今から50年前の1970年、同じく大阪で万博が開催された。この時の万博のテーマは「人類の進歩と調和」。NTT(当時、電電公社)は大規模なワイヤレスフォンの実験を行い、人々に衝撃を与える未来像を提示した。また、NTTは行列の情報を電光掲示板で表示するシステムを開発。この時から来場者の動きや様子をデジタル化(可視化)するという考えが始まっていた。

 現在、センサーやウェアラブルデバイスなどのセンシング技術の登場により、リアルワールドのヒト、モノのデータが、リアルタイムにデジタル化する動きが加速している。「デジタルツイン」という概念である。デジタルツインは、既に多くの企業において、機械の異常検知や製品改善など、さまざまな用途で実用化されている。

 デジタルツインをさらに発展させる構想として、2019年6月にNTTが「デジタルツインコンピューティング(DTC)構想」を発表した。DTC構想とは、デジタルツイン同士が交わる世界観のことで、「高精度なシミュレーションの実現」と「デジタルワールドでの能力拡張の実現」という大きく2つの目的がある。

 まず、「高精度なシミュレーションの実現」とは、リアルワールドでは難しい高精度のシミュレーションをデジタルワールドで実現し、リアルワールドで活用することである。例えば、デジタルワールドで再現された天候や交通状況、ヒトの様子など、さまざまな状況を踏まえて交通リスクをシミュレーションする。その結果をリアルワールドで活用することで、リスクを低減する。これは、自動運転などにも活用できる。

 次に、「デジタルワールドでの能力拡張」とは、リアルワールドではできないヒト・モノの能力の拡張をデジタルワールドで実現し、新しい体験を提供することである。例えば、デジタルワールドでヒトの言語能力を拡大させることで、他国の言語を自由に操り、現地の価値観も理解した意思疎通ができるようになる。

 これまで、われわれが生活するリアルの世界にインターネットが登場し、Webサービスが登場した。さらに、スマートフォンやソーシャルメディアの登場を経て、リアルワールドのデジタル化が始まっている。これから、DTC構想や5G等の技術の進化によりさらにデジタルとリアルの境目がなくなり、完全に融合する拡張リアルワールドに向かって進んでいく。

DXを積み重ねるための価値創出モデル「4D Value cycle」

 デジタルワールドとリアルワールドが融合する未来の世界で、われわれの生活はどのように変化していくのか。例えば、未来の世界の食卓と食料を巡る状況を考えてみる。未来の食卓では、遠く離れて住む両親が、あたかも隣にいるかのような臨場感で、食事や会話を楽しむことができる。食事は、体質・体調・好みに完全にパーソナライズされ、レシピもデータ化される。

 また、食材はバーチャル店舗で購入でき、迷った時にはAIエージェントが商品をレコメンドしてくれる。さらに、農場や工場などの生産、流通工程において、新たな技術の導入により、効率化や最適化が進み、働き手不足、食料不足、フードロスなどの社会課題を解決できる。デジタルが溶け込んだ未来の食卓は、さらに楽しく、買い物はますます便利に、安心して食料を手に入れることができるだろう。

 「これまで話してきた未来は、一足飛びには創ることはできません。足元のデジタルトランスフォーメーション(DX)を積み重ね、少しずつ未来に近づいていく必要があります。また、DXを積み重ねるためには、一つ一つのDXにおいて、4D Value Cycleを回す必要があります」(本間氏)

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