「経営の役割分担と相互けん制」で、会社経営の安定と成長が両立できる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
With/Afterコロナ時代の中小・ベンチャー企業に求められるのは、経営チーム、「経営の役割分担と相互けん制」による経営だ。
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新型コロナウイルスの世界へのまん延で、短期的にも中長期的にも業績や経営戦略の見通しがきかなくなっている昨今。会社経営の難易度は高まっています。そんな時代の中小・ベンチャー企業に求められるのは、ワントップ経営でなく、経営チーム、「経営の役割分担と相互けん制」です。
『中小・ベンチャー企業CFOの教科書』の中から、この「経営の役割分担と相互けん制」に焦点を当てて、リーダーとして会社経営を円滑に行いつつ、成長を果たしていくためのヒントを紹介します。
やることが多くモグラたたき経営に
成長を目指す中小・ベンチャー企業には、短い期間で事業面でも管理面でもやることがたくさんあります。その中で一番大事なのは「事業」、商品サービスを作って売る、本業を伸ばしていくことです。しかしその結果、管理業務、経理財務や人事総務は、後回しになったり、コストセンターである管理に人員を割きにくいため、勢い経営者と事務員の仕事になったりしがちです。すると、図らずも管理に時間と意識が取られてしまいます。特に資金繰りに関しては、ずっと安心することがないものですし、数字や文書に強い経営者ばかりではないのでなおさらです。
事業的に追い風の場合は、人が必要ですし、どんどん入ってもきます。すると、どうしてもスキルやマインドにバラつきが出てきます。後から入ってくる人の方がスキルは高くても、マインドは落ち着いた人が入ってきたりします。創業メンバーのように寝食忘れて一緒に……というモードにはなりません。経営者もスタッフもみんな忙しく、どんどんかい離していくのです。
その結果、組織マネジメントは大変になります。実際、中小ベンチャーでは誰々を怒らせた、プチ炎上したなど毎日何か事件が起こります。そういったカオスな状況では、経営はモグラ叩たたきになるでしょう。
「問題が起こったら、都度鎮火消火していく」
「重要度と緊急度のマトリックスでいくと、緊急度が高いことばかりやっている」
「重要度が高い、半年後、1年後、3年後のために、今仕込んでおかなければいけないことが後回しになり、事業計画の進捗が心もとなくなる」
「成長が止まってしまう、次のステージに行けなくなってしまう」
中小ベンチャーの経営につきまとう、根源的な悩みは多くあります。
経営の役割分担
経営者は、経営者にしかできない固有の仕事(下図の1〜4)とそれ以外の多岐にわたる雑多な仕事をこなしながら、企業の成長段階に応じたさまざまな悩みを随時解決していかなければなりません。そんな経営者が、「とても1人では立ち行かない」「キャパシティーを超えている」と思いはじめた時に出てくるのが、経営を経営者1人ではなく複数の経営陣で担当する「経営の役割分担」という考え方。一般的なのがCEO・COO・CFOの3人体制による経営です。
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