バズワードに終わらせないBeyond MaaS:視点(1/2 ページ)
一過性の実証実験にとどまることなく、ビジネスとして継続するためには、うまいビジネスのくくりを見つけることが必要になる。具体的にどのようなビジネスのくくり・パターンが想定し得るのか。
ビジネス化のポイント
MaaSやBeyond MaaSという言葉、いろいろな場面で聞く言葉だろう。言わずもがな、Mobility as a Serviceであり、直訳するとサービスとしての移動、となる。MaaSの具体例として、アプリを活用したモビリティサービスやオンデマンドバス、また検索・予約・決済と一貫したサービスなどは分かり易い例であろう。ただ、それが一過性の実証実験にとどまることなく、ビジネスとして継続するためには、「エンドユーザーにとって今よりも便利」「まとまった需要が存在」「収益が成り立つ」ことが必要である。よって、これらが成り立つうまいビジネスのくくりを見つけることが必要になる。
ここでは、具体的にどのようなビジネスのくくり・パターンが想定し得るのか洗い出してみたい。(図A参照)
ビジネスとしてのくくり方のパターン
(1)ユーザー起点で企画・開発される新しいモビリティ:
利用サービスプレイヤーや車両ユーザーが、モビリティ(HW)の企画・開発に深く関わる例が増えている。電動キックボード、パーソナルモビリティ、ラストワンマイル物流トラックなどで見られる。エンドユーザーとつながることで、ユーザー目線に立った新しいモビリティと利用サービスの提供が広がり始めている。
(2)モビリティサービスの多様化:
テクノロジーの進化により、オンデマンド・相乗り・ルート可変など、多様なサービスが出現している。エンドユーザーの「利便性(いつでも、どこでも、自分だけの空間で移動)」と「価格」のバランスから、移動シーンに合わせた多様なサービスが広がる。
(3)需要コントロールによる稼働平準化:
ダイナミックプライシングやポイント付与、予約制限や代替時間提案などで、ユーザーの不満を生み出さないレベルで需要をコントロールし稼働を平準化する。それにより、移動アセット・インフラを効率的に活用し収益性の向上を目指す。
(4)小さな需要を束ねて運び稼働向上:
路線バス、福祉施設送迎、通学バス、さらには宅配便など、街には多様な移動が存在する。これらを1台のモビリティでまとめ運ぶことで、稼働効率や積載効率を高め収益性を向上させる。こと移動密度の低い過疎地などで有用となる。
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