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「感情マネジメント」でチームを伸ばすビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

自分とチームの「気持ち」を知り最高の成果を生み出すEQ:Emotional Intelligenceの力

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 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。



『感情マネジメント 自分とチームの「気持ち」を知り最高の成果を生みだす』

 “How do you feel?(今、どんな気持ち?) ”

 数年後には、このようなあいさつが職場で普通に交わされることが、日本の職場が「働きがい」であふれ、チームで成果を生み出せるバロメーターの一つだと私は信じています。チームビルディングやリーダーシップ、コーチングとさまざまなスキルを身に付けてもなぜかチームがうまく回らない、それどころか、目前のたった1人のメンバーとの信頼関係も構築できている自信がない、私は日々そんな悩みをよく耳にします。 

 私自身、リーダーとしてのチームマネジメントに大変苦労してきました。会社員時代にチームリーダーになった時も、独立後に多様なメンバーで協業するようになった時も、さまざまなスキルや技法を学び知識を付けましたが実際にはうまくいきません。チームを良くしたい、チームに貢献したい気持ちが先走り、自分の思考や言動がうまく回っていかない時期を過ごしました。 

 そんな私が、EQを学んだことで心の持ち方、在り方、そして発信の仕方を変えたところ、さまざまなことが好転してきたのです。自分の「感情」を大切にするようになり、他者の「感情」にも目を向けるようになったことが、チーム作りやチームワークの向上につながりました。かつては「ビジネスに感情は持ちこむな!」などと言われる時代でしたが、現在はその逆、「ビジネスに感情を持ちこもう!」こそが、私が皆さんに勧める「感情マネジメント」です。なぜなら、人を突き動かす原動力は「感情」だからです。

 とはいえ、やみくもにもとの感情をビジネスの現場に取り入れてもうまくいく訳ではありません。「自分の感情」や思考をマネジメントするとともに、「他人の感情」を適切に理解して働きかけるEQ:Emotional Intelligence(感情知性)を発揮することがリーダーシップの発揮、チームビルディング、メンバーとの信頼関係づくりにつながります。

 EQは、米国の心理学者2人が「IQ(Intelligence Quotient)や学歴が高くても、ビジネスで成功していない人がいるのはなぜか」という問いのもとに実施した調査研究から導きだされた理論です。彼らは「社会で成功している人は、セルフコントロールや対人関係能力に優れている」という理論を提唱し、この概念は世界中に広まっていきました。今日では、米国のFortune誌が選ぶトップ500社の8割以上の企業がEQプログラムを導入し、成果を上げています。日本でも、チームビルディングを中止に、リーダーシップ、マネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどのテーマと絡め、多くの企業が導入をスタートし、継続的に成果につなげています。

 EQの特徴の一つは、「後天的に開発が可能」ということです。後天的に開発が難しいといわれるIQと違い、EQの分野は開発によって高められるのです。これが、世界中の企業や組織がEQのプログラムを導入し、高い成果を上げている理由でもあるのです。個人で、または組織でEQを導入して成果を上げるためには、3つのステップを踏んでいきます。この3つのステップを頭の中に入れておくことで、誰もが自他の「感情」を起点として「ありたい姿」に向けて自他を巻き込みながら変化を起こしていくことが可能です。今回は、「個人」としての開発をベースに、各ステップを紹介していきます。 

(1)知る

(2)選ぶ

(3)活かす

(1)知る:自分と自分以外の人の「感情」を理解する

 あなたは今どんな感情ですか? 感情の数は 2185あるという研究結果(※)があります。つまり、それだけ人の感情は多様で複雑ということです。たとえ同じ会議に出ている同じチームのメンバーでも、皆が同じ感情状態とは限りません。「今朝の上司からのメールにモヤモヤしている」「お客さまからの感謝の言葉をもらってうれしい」「週末の家族イベントが楽しみだけど準備が大変そうだ」など、人が持つ感情状態は千差万別です。まず自分自身の感情を把握することが何より大切です。

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